「君!頼むからお父さんを見捨てないで!」
「うぜぇっ!たった一年だろが!馬鹿親父!!」
「たった!?一年もだよ!?」
「・・・・・・。」
今のこの状況。
半分涙目になっているかなり童顔な親が、自分の服を掴んで泣き付いている状態。
理由はというと、突然薄い茶色のふくろうが届けに来たこの手紙が原因。
「つーか。親父もさ。
ここの卒業生だろ?」
「・・・・うん。」
こくりと涙目で頷く目の前の親父。
まったくこれではどちらが親なのか疑問に思ってくる。
とりあえず、床に座り込んでしまっている親父の頭をなぜてみたり。
ってゆーか、何で俺がなだめてるんだよ。
「じゃぁさー。楽しさは知ってるのに、何で行かしてくんないわけ?理由あんの?」
「・・・・・。」
「親父?」
「う・・うん!」
にっこりと笑顔をつけて、顔を覗き込んでやるとなにやらおびえた表情を見せてやたらと急いで頷いた。
俺の顔そんなに怖かったか?
「てかなんで、嫌がんだよ。」
「だって・・・君。」
「?」
「君美人さんだから、すぐに恋人作っちゃってお父さんの事なんて忘れちゃうじゃないか!」
「・・・・・。
・・・それだけか?もしソレが本当なら・・・切れてもいい?」
「・・・それだけじゃないよ。」
親父のアイスブルーの瞳が真剣味を帯びて睫毛が影を落とした。
「今年はあの子が入学してくる。君と同じ学年だよ。」
「あー・・・・。ジェームズの子か・・・。」
「君。その呼び捨てとか悪い癖やめといたほうがいいよ。」
「だまらっしゃい。フランツ。」
「うぎゃぁぁ!!」
げしっと、親を足蹴にする12歳の図。
教育に大変よろしくないなと頭の隅で思うが、まぁいいや。
ちなみにフランツというのは親父の名前。フランツ=ウィクリフ。
で、俺が息子の=ウィクリフ。
「俺のさー。」
「?」
「事情知ってんのはー。親父しかいねーの。」
「・・・・うん。」
「んでね。俺はその有名なジェームズさんのお子様に用があるわけ。」
「・・・・うん?」
「だから、入学許せ。」
「嫌だぁ!そこはお父さん譲れない!」
「いや、譲っとこうよ。そこは。」
なんだか、頭が痛くなってきて眉間に人差し指を当てる。
どうしてくれようか。
「わかった。」
「なに!?君あきらめてくれるの!?」
きらきらと周りに星が飛びそうなぐらい嬉しそうな笑顔をふりまき、
胸の前で指を組んじゃったりしてる親父にそれはそれはにっこりと笑顔をふりまいてやった。
なんか親父の顔に赤みがさしたような気もしなくもないが・・・。きっと、気のせいだろう。
「親父は無視する事にして、ダイアゴン横丁に行ってくるから。」
「君!?」
「あー。金はあるから心配すんなって。あ、マグルのじゃなくてちゃんとあっちのやつだから。」
「お・・お父さんも!」
「邪魔。来んな。」
にっこり笑顔でドアを思いっきり閉めるときに、親父の悲しそうな顔が一瞬見えたが気にしない。
というか、相手にしない。
「さーてーと。あっちとの繋がりはー・・・どこだったけ?」
とりあえず、外にでたはいいものの目的地がはっきりしない。
「久々だから、しょーがねぇか。・・・・あぁ。そだそだ。漏れナベ。」
頭の隅に浮かんだ単語に指を鳴らして、苦笑を浮かべる。
「やっべー。この歳でアルツハイマーかよ。」
くすくすと笑みを浮かべながら俺は足を漏れナベへと向けた。
04/09/16