「Mrウィクリフ。」


「?」



汽車を降りたとたんに駅長らしき人に呼び止められた。



「どうしたの、?」



後ろに続いてたハーマイオニーが不思議そうに肩越しから顔をのぞかせた。

目線で駅長らしき人を示すとさらに不思議そうに眉根を寄せて首をかしげた。



「さぁ・・・・?わりぃ。先いっといてくれるか?」


「わかったわ。」



ハーマイオニーはコクリと頷き、小さな暗いプラットホームの人ごみの中にまぎれていった。

夜の冷たい空気が頬をかすめる。

遠くで一年生を誘導する声が聞こえた。

これならハーマイオニーも迷う事はないだろう。



「で。なんか御用で?」



駅長らしき人を見上げてきょとんと尋ねると、にっこりと微笑まれた。



「マグゴナガル先生がその馬車の中でお待ちです。
 あなたには新入生とは別経路で城までいっていただきます。」


「・・・・・別にトクベツ扱いしなくていいんですけどー。
 俺はごく普通な一般生徒っすよー。」


「何がごく普通な一般生徒ですか。」



普通の人には引く馬が見えない馬車のトビラががらがらと開いて、
顔を見せたのは黒髪の厳格な顔つきの女性。



「お久しぶりです。Mr。」


「・・・俺の名前はウィクリフっすよ。えぇっとー・・・マグゴナガル先生?」


「えぇ。知っています。
 とにかく乗りなさい。」


「・・・・・・。」



不服そうに目を細めるが、この人に効かないことは重々承知。

仕方なしに馬車に乗り込みどかっと椅子に身を預けた。

それと同時に扉が閉まり馬車が動き出す。



「でー・・・ミネルバ。」


「マグゴナガル先生といいなさい。Mrウィクリフ。」



ファーストネーム。なおかつ敬称なし。当然のごとくミネルバの眉間にしわがよる。



「いいじゃん。別に。
 てかやっぱ、ばれてんの?」


「・・・・・・。えぇ。当たり前です。
 あなた自分の顔にどれだけ特徴があるかしっているでしょう?」


「重々承知でございます。
 しかし、やっぱそうなるとあれだよな。ダンブルドアにもばれてんだろ。」


「はい。さきほど連絡させていただきました。
 そして、そのわけを説明するためにこの校長室直通の馬車に乗ってるんですよ。」


「マジで!?」


「本当です。Mr
 ついでに言わせていただきますと、あなたのその顔を見れば、知っていた人全員にはまちがえなくばれます。」


「・・・・・・・・・うっわー・・・。俺、マグルの世界で暮らしててよかったー。
 親父、久々に感謝ー。」



その言葉をきいてミネルバの目元が緩む。


「そういえば、フランツは元気ですか?」


「おう。俺に泣きつけるぐらい元気だぜ。」


ぐっと親指を立てて見せると、ミネルバはくすりと珍しく厳格な顔つきを崩して見せた。

いつもこうしてればいいのに。などと頭の隅で思うが、

そんなミネルバもどうだろう。と頭の中で考え直す。

いつも笑顔なミネルバ。

あ、駄目だ考えられねぇ。



。」


「はい?」


「何か失礼な事を考えてませんか?」


「いえいえ、とんでもありません。」



くすくすと笑みを含めながら、そういうとミネルバはあきらめたかのように溜息をついた。

もしかしてあきらめの窮地って奴ですか。



「・・・・Mr。降りなさい。」


「へーい。」



馬車から地面に降り立つとその場所はずいぶんと懐かしい感じがする校内の風景だった。

目の前にあるのはカーゴイルの像。今も昔も変わらず校長室への入り口だ。



「・・・すっげー。テレポート?」


「そうです。レモンキャンディー。」



カーゴイルの像が道を明けて、校長室への道が開く。



「相変わらずお菓子の名前付けてんのか、Mrダンブルドアは。
 そのうちばれんぞ。」


「あの方の事ですから大丈夫ですよ、
 さぁ、いきなさい、。」


「ミネルバは?」


「私はそろそろ新入生の引率に行かなければ行けません。」



あぁ。と一度口頭で頷いて見せるも、新入生の単語に目を見開いてミネルバを見た。

大事な行事がいまからある。忘れていたわけじゃないが、いろいろあってそのことが抜けていた。



「ちょいまて。俺の組み分けの儀式は?」


「なんとか、間に合うでしょう。ほら、いきなさい。」


「のわぁっ!?」



背中を押されて、こけそうになりながら階段を駆け上る。

その経過でやはりというか、こけた。

軽く打ったようでじんじんする額を手で押さえる。

ぜってー。これはローブが長いせいだ。間違いない。

あと、ミネルバ。



「ミネルバの鬼ー・・・・。」


「そういってやるな。よ。」


「お?」



目の前に少ししわのある細長い手が現れる。

その手を掴んで立ち上がると、きらきらとした瞳を持った老人が視界に入った。



「どうもー。」


「久しぶりじゃの、。」


「久しぶりー。ダンブルドア。」


「時間がないのでな・・・。歩きながら話そうか。」


「了解。」



さきほど駆け上がった階段を逆戻り。

上がる必要がないのなら先に言ってください。ダンブルドア。

それなら額打たなくてもすんだだろうに。



「して・・・なぜ。ここにいるんじゃ。しかも、そんな姿で。」



ダンブルドアの声のトーンが下がる。

真剣な声。

まずは茶化してやろうかと、思っていたがそれが出来るような雰囲気ではない。



「んー・・・話せば長くなるんだけどな・・・。
 簡単にいうとー・・・ジパンクの陰陽師って知ってる?」


「あぁ。五行なんたらというやつじゃな。」



ダンブルドアが長い髭を触りながら、思い出すかのように視線を宙に動かす。



「そうそう。それに転生の術があるわけ。
 で、俺はその陰陽師にお知り合いがいたから、偶然にも転生できました。ってこと。わかる?」


「ほぉ・・・確かに簡単すぎやしないかのぅ。」



茶目っ気たっぷりにダンブルドアは笑う。

それに苦笑を返してから、目の前のドアを見る。



「そういってもなぁ。時間ねぇんだし。
 ・・・・・たしか、新入生はあっちだったよな?まぎれてくる。
 じゃぁ、校長がんばって。」


「おまえさんもな。」


「Yes,sir.」


「・・・そうじゃ。今度お茶でも校長室に飲みに来るといいぞ。」


「まじ!?行く行く!適当にお茶請け作るから、うわっ・・・すっげー楽しみぃ。」


「ほっほっほっ。わしも楽しみじゃよ。」


「じゃぁ、また後でなー。ダンブルドア。」



ひらひらと手を振ってその場でダンブルドアと別れて大広間の新入生用の入り口の方向へと向かった。

組み分けはきっと例外的に最後に回されるんだろう。

あー・・・ジェームスのお子さんの組み分け見たかったけど多分おわってるんだろうな。

残念。

わずかに口元に苦笑が浮かんだ。







20040920