頭上から僅かに妙な気配を察知して俺はその場を飛びのいた。

俺が飛びのいたその数秒後。

バシャンという音とともに大量の水がその場に落ちてきて、俺が立っていた場所はずぶぬれになった。

地面に水がしみこみ、芝生に水がかかってそれに太陽の光が乱反射してキラキラと綺麗に光っている。

あのままその場所にいたら俺はきっとぬれねずみになっていたことだろう。

やれやれ誰がこんなことを。と上を見上げてみると、白い柵で覆われたバルコニーから柔らかそうな赤髪が覗いている。

それも2つ。じっと顔を見てみるとその二人の顔はほぼ同じつくりだった。

つまり双子。これはきっとウィーズリー家の双子。俺と同じクラスのMr.ウィーズリーの双子の兄達。



「あれ?よけられた。」


「タイミングは完璧だったのに!」


「なんてことだ!ジョージ!!これは僕たち双子のウィーズリーの恥じゃないか!」


『悪戯が失敗するなんて!!』



まるで世界の終わりだとでもいうように二人は両手を広げて白い雲が浮いている青い空を見上げる。

俺の実際の姿をお披露目してわずか30分。

既にドラコにあい、こいつら双子の餌食になることに決定するとか

どんだけ情報が流れるのが早いんだこの学校。

昼寝の続きをしたかったけど、この二人につかまってしまったのなら無理っぽい。

今日は早めに寝るとしよう。明日の予習?そんなもの知らない。



「お前ら降りてこいよ。」



相変わらず上を見上げたままの赤毛の二人に、にやりと口の端を上げて問いかけると

双子はおや。とでもいいたげにきょとんと驚いた表情を作って見せた。



「どうやら僕たちのジョークが通じる相手らしいね、フレッド。」


「そうみたいだ。」



俺の問いに二人で頷きあって、フレッドとジョージというらしい双子はバルコニーから一度姿を消した。

どうやらどこかの階段を使ってここまで降りてくるらしい。

しばらく待ってみるか。そう思った瞬間、上から何かが俺の隣に降って来てそのあと双子がソレの上に着地した。



「・・・・えっと?」



とりあえず今の状況把握。

今目の前にいる赤い髪の双子があそこから飛び降りたのはわかった。

で、問題はその着地地点。

なんだろう。この黄色というかオレンジというか。そこら辺の微妙な色でプルプルしている物体は。

見た目はそうだ。あの食べるゼリーに似ている。

その場にしゃがんでそれをつついてみるとゼリーと違うのはそのまま指を中に受け入れることだろうか。

ゼリーとは違って随分と弾力性がある。これであそこからの着地の際の衝撃を減らしたらしい。



「くっ・・・・くくっっ・・・あははっ・・・!お前らさっっいこうだな!」



その場から立ち上がって、片手だけ腰に当て僅かに首をかしげてそういうと

双子はにぃっと口の端を上げてみせ、お互いに手を合わせた。



「これの素晴らしさがわかるなんて!」


「なんて素敵な人だろう!!」


「えー。なにこれ?なにこれ?お前らが作ったのか?」



オレンジっぽいゼリーのような物体を指差すと二人は得意げな顔をして見せて杖を一振りしてその物体を消した。

そして両手を広げて随分と大げさな動作をして見せた。

まるで演説台に立っているかのような雰囲気だ。



「その通り!」


「我らウィーズリーの双子は」


『日々こういったものの開発に勤しんでいるんだ!』


「マジかっ!ということはほかにもあるのか?」



にやにやと笑みを浮かべながら二人に問いかけると二人はふふんと得意げに鼻を鳴らす。

どうやらまだまだあるらしい。

やばいな。こいつらマジで面白いかも。



「もちろんさ!」


「ぜひとも君を僕たちの部屋に招待したい!」


「おー!そりゃいいな!!
 それと俺の名前は=ウィクリフ。君なんて呼ぶな。ジョージ、フレッド。」



くすっと微笑みながら言うと双子の瞳がキラキラと輝きだす。

あれ?なんかこいつらが嬉しがるようなこと俺言ったか?

僅かに眉を寄せて首をかしげると、双子が両方から俺の肩に腕を回した。



「まさかもう名前を呼んでくれるなんて!」


「嬉しすぎて僕たち感激の涙で前が見えないよ」



二人まったく一緒のタイミングで涙を拭う振りをする。

なんというかさすが双子。この息の合い方はある意味尊敬する。



二人の腰に手を回して俺の体に二人の体を密着させる。

俺は意図して色気の滲ませる笑みを顔に浮かべて二人の顔を交互に見た。

中庭から続く廊下を通る生徒達が双子に視線を向けてから俺に視線を向けて驚いたような顔をしている。

あれは誰だっていうことと、双子を手懐けようとするなんてめずらしいことしてるからだろう。

この学校は相変わらず面白い。



「で。俺になんであんなことをした?」



顔を真っ赤にして、口元を手で覆い二人は俺から視線をそらした。

そしてちらりと俺のほうを見てから、二人で視線を合わせた。



「絶世の美人が突然現れたなんて噂を聞いて」


「そんな渦中の人物に悪戯しないわけにはいかないと」


「そこでなんでそうなる。」


とお近づきになりたくて』



異口同音。ってこういうのを言うんだろう。

なんでこうピッタリと同じ言葉がいえるんだ。

俺は小さく溜息をついて二人の顔を見た。

相変わらずなんか恥じらってて可愛い。

しかしこの理屈はあいつらとまったく同じだな。

こんなところにもちゃんと後継者がいるもんだな。



「おまえらさ。俺と仲良く。つーか、友達になりたいんだろ?
 それなら悪戯じゃなくてだな・・・」


『いや、違う!』


「は?」



突然言葉を遮られ俺はきょとんと目を丸くする。

どういうことだ。と眉根をよせ首をかしげると。

双子は俺を両側から抱きしめた。

つまり双子に挟まれている状態。逃げ場がない。



「えーっと・・・?」



視線を彷徨わせてみるとフレッドとジョージはなぜか真剣な顔つきになって

俺の顔をじっと見る。



「僕たちは」


『姫の騎士になりたいんだ!』


「・・・・はい?」



まず言われた意味がわからなくて。

そのあと俺の呼称が姫なのに驚いて。

いったいどこからつっこんだらいいんだこの二人。



「どういう意味だ?」


「姫のおそばにずっといたい!」


「姫をお守りしたい!」


『そういうこと!』



抱きつく力を強くして俺の耳元で結構の音量でそういう二人。

思わず耳をふさぎたくなったの当然のことだと思う。

でもアレじゃないか。感情の表現の仕方間違ってないか?

どこかの馬鹿たちとすっげー似てる。



「姫ってなんだよ。」


「見まごう事なき姫じゃないか!」


「その美しさ!姫以外に何がある!ぜひともお守りしたい!」



あれですか。お前達の頭の中では綺麗=姫ですか。

別にいいけど性別間違ってること気付いてるよな、こいつら。

それでも尚、姫といいはるか。王子じゃ駄目なんだろうか。

しかし、それにしても。



「 ・・・その守りたい相手に危害加えようとするとかなんだそれ。」


「だから違うんだ、姫!」


「ずぶぬれにして着替えのために僕たちの部屋に連れ込もうと・・・。」


「お前ら危険だな、おい!」



思わず噛み付くように声を放ち

両腕を横いっぱいに広げながら二人を押しのけてそういうと

二人は嬉しそうに微笑んで、自分達の胸の前に両手を広げた。



『だから姫とお近づきになりたいっていったでしょ?』



にっこりとまったく悪意を感じさせないような微笑を浮かべる二人。

悪戯を心から楽しみ、強引な方法で人の中に入ってくる。

昔と同じ。どうやら俺はこういうタイプに異様に好かれる性質らしい。




2007/08/28


アトガキ

姫って呼ばれる初めを書きたかったのです
双子好きだ!!あの悪戯っ子たちかわゆすぎるww
主人公さんはややこしい人たちに好かれるのが特技です 待