「おい、ロン」
僕は同い年であるにしては艶のある声をかけられ、思わず背筋を凍らせた。
人形のように美しい人物を思い浮かべながら後ろを振り向くと
予想通り美麗な友人がいて、不機嫌そうに眉を寄せていた。
「お前うちのハーマイオニーになにしてくれてんだよ」
「何って…」
静かだか怒りを含む声でそういわれ僕は口のなかでもごもごと呟いた。
「泣いてんだろが。」
ため息をつくような声でそう言われ僕は下を向く。
の顔を見れない。
彼に軽蔑されたような瞳で見られるのに僕は耐えれない。
「おい、ロン」
名前を呼ばれ僕は肩を震わせた。
ビクビクと脅えながら視線をあげるとそこには軽蔑の表情ではなく、
親しい間柄のみでみせるようなあきれたという表情があった。
僕がポカンと口をあけるとはそれ自体が光っているかのような白く長い髪に手をつっこんで頭をかいた。
「あ゛ーもう!俺はロンを泣かせにきたんじゃねぇつーのに!何だよ、俺が悪いのか?」
めんどくさいとでもいいたげに息を吐きは僕の方を見た。
「脅すような言い方したのは悪かった、許せ。で、取り合えずこの後どうすんだよ?」
「え?」
「もちろん謝るんだろうな?」
「…なんで僕が謝らなきゃいけないんだ」
そういうとは強く眉間に皺をよせた。
美形なだけに凄みは倍増して、僕は小さく息を呑み込み足を半歩引く。
「俺は寝てたから良くはしらねぇけど、
ハーマイオニーはロンにやり方を教えてやっただけなんだろ?
それなのに、だから友達いねぇ。ってどういうことだよ。
じゃあ、俺はなにか?ハーマイオニーの友達じゃねぇのか?」
再び怒りが沸き上がってきたのかは僕に噛みきそうな勢いでそういう。
僕が悪いのなんてわかってる。わかってるけど気持ちがおいつかない。
「僕が悪いっていうのはわかってるけど認めたくないんだ!」
なんだか半分泣きそうになりながらそう叫ぶと
は一瞬あっけにとられたような顔になり、
その後に後悔に駆られたような表情になった。
「悪ぃ。大人げなかった。」
も子どもだというのにまるで自分が大人であるかのようにそういって、僕は首を傾げた。
「そーだよな。簡単に認められるもんじゃねぇもんな。」
は気まずそうに視線を辺りに漂わせた。
悪いのは僕であってではないのに
がここまで困惑してるということに僕はすこし焦りの気持ちを覚えた。
「あの…?が困ることないんじゃないかな…」
すこし遠慮がちにそういうとはキョトンと目を丸くして僕をみた。
「あぁ…まぁそうか。そうだな。
…夕飯食いにいくか?」
話の話題に困ったように視線を漂わせてから微笑んでがそういったので僕はこくりと頷いた。
「取り合えず謝れよ」
が僕に背を向けて一歩前を歩きながらそういったので
僕はなにも言わずにうつ向いての後ろに続いた。
◇◇◇
「!ロン!」
少し落ち込み気味での後ろに続いているとハリーの声が後ろから聞こえた。
振り返ってみると少し走り気味でハリーが此方に近づいてきてるところで
がソレをみて華やかな笑みを浮かべて見せた。
「よぉ。ハリー。お前も飯か?」
「うん。」
にぐしゃぐしゃと撫ぜられた頭をなでつけながらハリーは笑顔で頷いた。
いつもなら僕にもしてくれるのだが、今日は怒ってた・・・いや、怒らせてしまっていたから
それがなかった。ちらりとを横目で見るとは眉を下げて微笑んで見せた。
「おまえなー・・・。」
が僕に腕を伸ばそうとした瞬間僕の隣をパーバティ=バチルとラベンダーが通った。
「――マイオニーがトイレで泣いてるの。
私出てくるようにいったのに独りにしてくれって・・・どうすればいいのかしら・・・。」
そう言いながら通り抜けていくもんだから、がその二人を眼で追って
そのまま手を引っ込めて、二人の元に行ってしまった。
少し期待してしまっていただけにの手が僕の頭の上から離れていくのを
眼で追っているとなんだか気分が沈んでいってしまう。
「あ、!」
ハリーが声をかけるがは気にせず二人のほうへ行ってしまった。
じっと様子を見てみると、まるで芸能人かとでもいうような笑みを浮かべたに
声を掛けられたパーバティとラベンダーは頬を染めて何かを説明しているようだった。
話が終わったのか二人に華やかな笑みとともに手を振って此方にもどってきた
は眉間に皺を寄せており、僕は小さく息を呑んで一歩足を引いた。
「ロン?」
ハリーが少し心配そうに声をかけて僕の顔を覗き込む。
僕が何も言わずに首を振るとハリーは軽く首をかしげてを見た。
「。ロンに何かしたの?」
おびえてるみたいだけど。と付け足していうと、は本日何回目かの呆れたように息を吐いた。
「お前、怯えんなっつーの。」
僕の制服の後ろの襟首を掴んではさらにわざとらしく息を吐く。
この掴み方ってなんか子犬みたい。
そう思う僕は間違ってるのだろうか?
恐る恐る視線を上げてみると、が眉を下げて微笑んでいた。
「3階のトイレだと。俺も一緒に行くから後で行くぞ、オラ。」
に乱暴に首根っこを引っ張られたまま
僕たちはハロウィーン仕様で夕食が用意してあるはずの大広間にむかった。
大広間にはいってみるとその中はみごとにハロウィーン用に飾り付けられていた。
どんだけいるんだと思うほどのこうもりが天井や壁辺りに飛び回っていて
時々僕の目の前を通過する。そしてそいつらが顔の形をくりぬいたかぼちゃのランタン、
ジャック・オ・ランタンの光を遮ったりして、ちかちかとランプが光っているような感じさえして
祭りの高揚感が溢れるその場の空気で僕の気持ちは一気にそっちの方向にいってしまっていた。
テーブルの上には入学式と同じような金色の皿がおいてあって、
僕らが席についてから暫くしたあとに突如食べ物がそこに姿を現した。
「うまそー・・・。」
隣に座っていたがポツリとつぶやきながらまずかぼちゃパイを皿によそった。
僕がその様子を見ているとは僕の視線に気がついたのか、
パイを一口大にきって口に運ぼうとしたその体制のままきょとんと首を傾げて見せた。
「どした?」
「パイって普通デザートじゃない?」
「喰いたいモンから喰ってなにが悪い。なぁ、ハリー?」
「悪くはないよ。僕はお勧めはしないけど。」
「ははっ。お前らに強要するつもりはねェよ。安心しろ。
ということだ、ロン。」
それ自体が光のような金色の瞳と若葉のような黄緑色の瞳が僕のほうへ向く。
確かになにから食べようとも個人の自由であると思う。
だけど僕もハリーと同じくお勧めはしない。
デザートは最後に食べるのがやっぱり道理だと思う。
「あ、ポテトうまそー。」
「あ、本当だ。」
悩んでる・・・っていうのかな。わからないけどそんな僕を放っておいて
とハリーは仲よさそうに皮付きポテトを皿によそっていた。
「うわっ!!僕そんなに食べれないって!」
「いや、喰える。そのかわりコレだけで腹いっぱいになるけどな。」
「そんなの。イヤだよ。」
「気にすんな。ほら、ロンも喰え。」
取り分け専用の大き目のスプーン山盛りにが僕の皿にポテトを盛ろうとした瞬間
騒がしかった大広間の音の間を縫うように扉を開く大きな音がとてもはっきりと耳に入った。
そしてローブをはためかせて、顔を蒼白にし全速力で室内に入ってくるクィレル先生の姿が眼に映った。
「・・・厄介だな。」
がポツリとそうもらし、僕がくるりとのほうをむくと
どこか険しい顔をしていたのだが表情をすぐにきょとんとした表情に変えてしまった。
「厄介って?」
「厄介そうじゃん。」
ほら。とは不躾にもクィレル先生を指差した。
ほとんどトレードマークといってもいいターバンはよれよれになっていて
顔はこの世の終わりでも見てきたかのように恐怖に引きつっている。
息は絶え絶えでダンブルドア校長の椅子の前にたどりついたのはいいが
呼吸を整えなければ声を発することは出来ないようで、テーブルに手をついて苦しそうに喘いでいた。
確かに何か厄介そうではある。
「トロールが・・・地下室に・・・お知らせしなくてはと思って――」
その後の言葉は聞き取れなかった。
大きな音と共にクィレル先生が床に倒れる音。
そして一拍おいた後に大広間は恐怖の声、混乱のざわめきに包まれた。
2006/07/27
アトガキ
子世代真面目に更新しようかと思い立ちまして、こんな感じです。
ロン視点ー。ロンはね、双子の反動で純粋なんだと思う。
そしてハリーは着々とリーマス化していくと思う。
あぁ、うちのリーマスのような感じになるということで公式設定のではないです(わかってます)
思うって書きながら私が結局のところ書くんだからそうなるんだろう(笑)