「スキャバーズなんかに手を下すために、わざわざアスカバンを脱獄したって言うのかい?
つまり・・・。」
僕は助けを求めるようにハリー、ハーマイオニー。
そして、に目線を向けた。
ちなみにそのなかでだけは表情が違う。
どこか悠然とした余裕の笑みを浮かべているのだ。
「往生際がわりぃぜ、ロンよ?」
「そんなこといったって・・・!」
がくくっと喉もとで笑う。話していてもらちがあかなさそうだか・・・。
「ねえ。ペデュグリューがネズミに変身できたとしても−−ネズミなんて何百といるじゃないか。
−−アズカバンに閉じ込められていたら、どのネズミが自分の探しているネズミなんて・・・。
・・・・この人、どうやったらわかるっていうんだい?」
「あぁ。それか・・・。」
「そうだよ、シリウスまともな疑問だよ。」
突然横からルーピン先生が口を出した。
そして少し眉根を寄せてブラックを見る。
「あいつの居場所をどうやって見つけ出したんだい?」
「そうだぜ、シリウス。説明してやれ。」
「・・・・。」
の命令口調にブラックは少しだけ眉を寄せるとローブの中からくしゃくしゃになった紙の切れ端を取り出した。
それは僕と僕の家族が写っている一年前の”日刊預言者新聞”だった。
僕の肩の上にスキャバーズがいる。
僕は驚きに目を見開いてそれを食い入るように見つめる、
ほかの3人も同じような表情だ。もちろんを除いて。
「いったい・・・どうやってこれを・・・?」
ルーピンが目を見開いたままで雷に撃たれたかのような声の調子で
ブラックに質問を浴びせた。
「ファッジだ。去年アズカバンの視察に来たとき、ファッジがくれた新聞だ。ピーターがそこにいた。
一面に・・・・この子の肩に乗って・・・俺にはすぐにわかった・・・こいつが・・・・。
こいつが変身するのを何回見たと思う?それに、写真の説明には、この子がホグワーツに戻ると書いてあった。
・・・・ハリーのいるホグワーツへ・・・。」
「なんたることだ。」
「・・・・・。」
ルーピンがスキャバーズから新聞となんどか目線を往復させて静かに言った。
は満足そうに笑みを浮かべている。
ハリーとハーマイオニーは相変わらず驚きの表情を浮かべていた。
僕も例外なくそれにあてはまった。
「・・・・さて。シリウス。肝心の証拠がねぇだろ。」
「・・・・あぁ、わかっているさ、。・・・コイツの前足だ。」
「それがどうしたっていうんだ!」
僕は耐え切れなくなってブラックに食って掛かった。
スキャバーズはパーシーのお下がりだけど僕にとっては家族も同然だ。
なのに、こんな疑いをかけられるなんて。
「指が一本ない。」
よく見てみろ。と言わんばかりにブラックは落ち窪んだめで僕を見た。
「まさに。」
ルーピンは溜息をついた。
「なんと単純明快なことだ・・・こざかしい!・・・あいつは自分できったのか?」
「おぅ。」
「変身する直前にな。」
とブラックが交互にこたえた。
いまさらなのだが、どうしては見てきたことかのように話しているのだろうか。
「あいつを追い詰めたとき、あいつは道行く人全員に聞こえるように叫んだ。私が・・・俺がジェームズとリリーを裏切ったんだと。
それから俺が奴に呪いをかけるより先に、やつは隠し持った杖で道を吹き飛ばし、
自分の周り、五、六メートル以内にいた人間を皆殺しにした
−−そして、すばやく、ネズミがたくさんいる下水道に逃げ込んだ・・・・」
「ロン。」
ルーピンに名前を呼ばれ、僕は暴れるスキャバーズを腕に強く抱きしめてルーピンの顔を見上げた。
「聞いたことないかい?ピーターの残骸で一番大きなのが指だったって」
僕の頭が混乱してきた。そんなはずない。
スキャバーズは僕の大事なペットだ。
人間を何人も殺した殺人鬼だ、なんて。
そいつが変身しているネズミだなんて、信じられない。
「ロン。認めろ。」
が強い金色の瞳をこちらに向けて穏やかに言った。
でも、いくらにいわれても信じられない。
「だって、多分、スキャバーズは他のネズミとけんかしたかなんかだよ!
こいつは何年も家族の中で”お下がり”だった。確か−−。」
「十二年だね、たしか。」
「お?なんで、リーマスが知ってんの?」
「ほら、。計算して。」
「あー。めんどいわ。」
「・・・君がいると話が進まない。
ロン。どうしてそんなに長生きなのか変だと思った事はないのかい?」
そういわれてみると、確かにそうだ。
だけどスキャバーズは・・・スキャバーズは・・・。
「僕たち−−僕達が、ちゃんと世話したからだ!」
僕は声を荒げた。
「今はあんまり元気じゃないようだね。どうだね?
僕の想像だが、シリウスが脱獄して、また自由の身になったと聞いて以来やせ衰えてきたのだろう・・・?」
「コイツは、その狂った猫が怖いんだ!」
僕は必死でクッルクシャンクスを顎でさした。
しかし、ハリーもなにやら眉根を寄せている。
違うと言いたいらしい。
ブラックはクルックシャンクスの喉を撫ぜながらかすれてはいるが穏やかな口調で話し出した。
「この猫はくるっていない。俺が出会った中で、こんな賢い猫はまたといない。ピーターを見るなり、すぐ正体を見抜いた。
俺に出会ったときも、俺が犬でない事を見破った。俺を信用するまでに時間がかかったが・・・
ようやっと、俺の狙いをこの猫に伝える事ができて、それ以来俺を助けてくれた・・・。」
「それどういうこと・・・?」
先ほどまで黙っていたハーマイオニーが不思議そうにブラックに問いかける。
ブラックは苦笑を浮かべながらハーマイオニーに視線を投げかけた。
「ピーターを俺のところに連れてこようとした。
しかし、できなかった・・・そこで私のためにグリフィンドール党への合言葉を盗み出してくれた
・・・誰か男の子のベットの脇の小机から持ってきたらしい・・・。」
瞬時に誰の事だかわかった。ネビルだ。
この状況だと言うのにはなおもくすくすと楽しそうにわらう。
ハリーが頭を抱えだした。そろそろ僕にも混乱してきてわからなくなってきた。
20050206