「待ってたってどういうこと?」


「そのまんまの意味だけど、リーマス=J=ルーピン?」



畏怖すら抱くような整った顔をもつ目の前の少年は口元に笑みを浮かべてそういった。

そのままの意味?つまり僕がここに来るという事を分かっていったという事?

何も言えずに僕が固まっていると、は桜色の薄い唇の端を上げてさらに笑みを深めた。



「そんな変なもん見たよーな顔すんな、つーの。
 それとも俺の顔になんかついてるー?」



は自分の手で頬を包み込むようにして、おどけてみせる。

強い光をともす金の瞳がきょとんと揺れた。

僕は一度息を飲み込んでからその瞳と目を合わせた。



「・・・僕になにか用でもあるの?」


「あ、そーそれ。別にここでも良いんだけどな・・・とりあえず場所変えねぇ?」



ってだけで注目を集める。黒髪の眼鏡じゃない方の友人とそれこそ同じかそれ以上。

身にまとう空気が僕達とはどこか違うのだ。

目線が集まる図書館の中をきょろきょろと見回してからは僕に視線を向けた。

少し自分のペースが戻ってきて、僕は微笑みながらコクリと頷いた。



「僕は別にかまわないよ。」


「そ?じゃぁ、俺の部屋いこーぜ?」



にぃっと笑っては席を立ち、机の上に広げていた羊皮紙を丸めて傍らに合った本と共に脇に挟んだ。

そして僕の隣に来て肩を叩いた。とたんに香る甘い匂い。

の匂い・・・?

僕は小さく目を見開いてを見るとは妖艶な笑みを浮かべた。



「さ、いくぞ?」



コクンと頷き、僕はの後に続く。

すれ違う生徒達が不思議そうな視線で僕達の方をむいた。



(・・・僕、もしかしなくてもジェームズたちと同類だと思われてる?)



いたずら仕掛け人はに悪戯をずっと仕掛けてきた。

だから悪戯仕掛け人がと仲がいいのを不思議に思うのも無理は無い。

けれども、ずーっとやってるのはジェームズとシリウス、あと時々だけどむりやりつき合わされているピーター。

僕は明らかに無謀だと感じたので最初の一回で止めた。

だから僕までに悪戯しかけてるって思われるのがなんか嫌だ。

ちらりと横を歩いていたに視線を向けるとはそれに気付きにっこりと笑う。

それを見た僕の後ろにいた女生徒が口を押さえて顔を赤く染め、あらぬ方向に走り去ったのが見えた。



「・・・・。」



僕がそれを無言で見送ると、は声を押し殺して肩を震わせている。

それ自体が光を発しているような白い髪がゆれて、は後ろを向いた。

そして極上の笑みを浮かべてひらひらと手を振る。

バタンっと人が倒れるような音がしてから、は此方に向きなおりくすくすと笑った。



「・・・愉しんでるの?」


「んー?まぁな。」



くすくすと笑いながらは足を進める。

そして、ポケットに手を突っ込んだ状態で僕のほうを向いた。



「自分が愉しむためにもってるもん最大限利用するのは全く問題ないだろ?」


「・・・そうだね。」



その言い草に僕はぽかんと口をあける。

もしかしてって僕と同類な部分があるかもしれない。

僕は楽しくなって思わず微笑んだ。




「・・・リーマスはその方がかわいーぜ?」


「どーも。」



男なのに可愛いって言われるのはどうかとも思うけど、からならいいかな、なんて思う。

に誉められて嫌な気分になる人なんてそういないだろう。

それに僕は可愛い系統の顔だって言う事は自覚してるし。

わりと和やかな雰囲気になって足をグリフィンドール寮へと進めていき

部屋の前まで案内され、が扉をあけて中に促す。

中に入るとそこにはベットが二つしかなった。

部屋の大きさは4人部屋である僕らと同じぐらいなのに二人部屋。

持込なのかは知らないが一方のベットには高そうなベルベットの生地の天蓋になっていた。

そしてそこに寝転がってる少年には近づいていった。僕もそれに続く。

その少年は安らかに寝息を立てていたが物音に気がついたのか、紅茶のような瞳をゆるゆると開いた。

そして隣にいるの顔を認めると、嬉しそうに顔を緩めた。



「・・・君・・・おはよー・・・。」


「いや、お前まだ夕方だし。」



は苦笑を浮かべながらベットに座りフランツの頬を優しく撫ぜた。

それをくすぐったそうな表情をしてからフランツは瞳を何度か瞬かせる。



「あれ・・・リーマス?」


「おはよう、フランツ。お邪魔してるよ。」


「ううん。ゆっくりしていってね。」



一瞬驚いたような表情をしたもののは寝転んだまま、花のように可憐に笑って見せた。

それに苦笑をもらしては親指でフランツをさす。



「こいつさー、あほなんだよ。
 俺が溜めてた宿題昨日夜遅くまで片付けてたら、終わるまで起きてやんの。」



で、今日は寝不足。とは楽しそうに笑い、柔らかそうなフランツの髪を撫ぜた。

僕はそれをほほえましくみながら微笑み、と同じようにベットに腰掛けてフランツの髪を撫ぜた。

思ったとおりにフランツの髪は柔らかく、指通りが良い。

フランツはそれが気持ちいのか、ゆっくりと目を閉じてそのまま再び寝息を立て始めた。

それをみてがくすくすとほほえむ。



「可愛いだろ、コイツ。」


「うん。あぁ・・・それで。話っていうのは?」



視線をに投げかけるとは金色の瞳をきょとんとさせた。



「あー、そうだったな。・・・そうだ、そうだ。」


「まさか忘れてたの?」



呆れたような顔をしてみせると、はただ楽しそうに微笑む。

どうやら忘れていたらしい。自分で呼び止めておいてそれは無いと思う。



「んー、あんなリーマス。」


「うん。」


「こーいう状況だから俺と仲良くしにくいだろ?」


「まったくあの馬鹿たちのせいでね。」



黒髪の悪友二人の顔を思い浮かべる。

への悪戯が成功せず、むきになってリベンジしつづけている友人達。

そのすばらしい頭で僕への被害もぜひとも考えて欲しい。



「でな、俺はお前らと仲良くしたいわけ。」


「それは、僕も同じ。」


「だろ?」


「うん。」



と遊ぶのって絶対楽しいと思う。

なにより見てて目の保養になる事請け合い。

僕はと仲良くなりたい。



「だからー。俺は一人ずつお前らを落としていくことに決めたわけよ。
 つーことで、よろしく、リーマス。」


「結構強引じゃない?」



口元に手を持っていってクスリと微笑むとは憎たらしいほど完璧で綺麗な笑みを浮かべた。

年不相応な色のあるその表情に不覚ながらも一瞬鼓動が高鳴った。

そしてはそのまま僕の頭を手で挟み、自分の額と僕の額をくっつけた。



「リーマスも仲良くしたいっていったろ?」


「うん。」



至近距離に綺麗な顔がある。鼓動が早くなるが僕はポーカーフェイスで笑みを作って見せた。

それには微笑んで顔を離す。



「そーだ。シリウスにはコレ内緒な。」


「・・・他は良いの?」


「ピーターは驚くだろーけどさ。
 ジェームズは近々落とす予定だし、別に言ってもかまわねぇけど、
 シリウスは遊んでみたい。あいつ、まっすぐだから言った時の反応が楽しそうだ。」



が片目をつぶって見せたので僕はくすくすと微笑んだ。

確かにシリウスの反応は見ていて楽しそうな気がする。

はベットから立ち上がってにっこりと笑う。



「話はこれだけだ。つき合わせて悪かったな。」


「別に良いよ。収穫あったし。」



と仲良くなれたそれだけで十分だと思う。

僕も立ち上がり、扉の方へ向かいだす。

がそれについてきて、扉を開けてくれた。



「誰かが僕がこの部屋から出てきたの気付いたらどうする?」



興味本位で悪戯気な笑みを浮かべて聞くと、

も楽しそうに悪戯気な笑みをうかべて僕の耳に口を近づけた。



「いろいろ想像させてやると良い。」



は僕の頬に口付けを落として、にっこりと微笑みひらひらと手を振った。

僕は口付けられたところを手で押さえて目を見開く。



「じゃぁな、リーマス。」


「・・・・うん、じゃぁまた夕食で。」



僕は我に返り手を振り替えした。

扉が閉まってからあたりを見回したが見える範囲にはどこにも人影はなかった。

鼓動が高まる。彼は男まで魅了するらしい。

・・・は予想外の行動をとるから飽きは来なさそうだ。

楽しくなって口元に笑みのぼり、僕はそのままの気分で自室へと足を進めた。











2006/03/11