背中に悪寒が走り、ガバッと身を起こした。
まだ続々と背筋に感覚が走っていて、自分で自分を抱くように腕を回す。
脈動が随分と激しく、それが収まるまで深く息を吸ったりはいたりした。
先程まで夢の中で見ていた光景を思い出して再び悪寒に身を揺さぶる。
寝汗をじっとりとかいていて気持ち悪い。
「ちっ・・・どういうつもりだ・・・神竜。」
心の準備をという事だろうか。
いや、今回は知らない方がまっしだったかもしれない。
おぞましい光景が甦る。
自分が見た夢は全て真実を表す。
未来に起こる事。そして、自分はその未来を変えてはいけない。
もぞもぞと向かい側のベットが動いた。
どうやら同室の友人を起こしてしまったようだ。
ゆっくりとフランツは身を起こして、眠たそうに目をこすった。
「君・・・?」
「悪い。起こしちまった。」
「うぅん。・・・なにかあったの?」
自分のベットから抜け出し、ふらふらとした足取りでフランツは此方のベットにのった。
「別になんもねーよ。」
「・・・うそつき。すごい汗かいてる。
また悪い夢でもみた?」
心配そうな色を瞳に浮かべて、フランツは俺の頬を両手で包み込み小さく首を傾げた。
名門ウィクリフの家の出だとは信じられないほどフランツは良いやつだ。
「お前に隠し事は無理・・・か。」
ふと、目をふせるとフランツはしっかりと頷いた。
但し、内容を言うわけにはいかない。それはフランツも重々承知の事。
制約という名の鎖。それに抗う事は出来ない。
「今日、多分帰ってこれねーから、先、寝とけ。」
「だめ。」
「・・・は?」
強い意志をもった否定の言葉を告げられる。
俺はなんだかわからなくて、目を丸くしたままの瞳を見上げた。
「ちゃんと帰ってきて。」
「いや・・・あのなフランツ。」
「帰ってこなかったら僕泣くから。」
「・・・。」
フランツは俺が己の涙に弱い事を知っている。
コイツになかれると俺は本気で困ってしまう。
「努力します・・・。」
「うん。」
そういうとフランツはようやく頬を包み込んでいた両手を離した。
そして一息ついてから首を傾げた。
「一緒に寝る?」
「はい?」
また、なんで。
俺から誘うことはあってもフランツから言い出すことはめったにない。
誘っても顔を真っ赤にして散々嫌がって、その後渋々承諾する。それがお決まり。
「なんで・・・?」
素直に疑問を問いかけるとフランツは気まずそうに目線を外すと顔を赤らめた。
「君が辛そうだから・・・。」
「!?」
そんな表情をしていただろうか。
一応俺はポーカーフェイスで通っているのに・・・。
フランツは一度時計をみてから俺に視線を戻した。
「ほら、まだ三時だし。早く寝よ。」
早口でそうまくし立てながら、フランツは俺の布団にもぐりこんだ。
「あぁ・・・じゃぁお願いします。」
ベットに倒れこみ、目を閉じて思った。
フランツには敵いそうにない。と。
2006/02/12