本を小脇に抱えて、僕は静かにホグワーツの城の中を探索していた。
にぎやか過ぎるほどにぎやかな黒髪馬鹿2人は今は隣にいない。
おかげで向けられる視線もそんなに気にならない程度のもの。
(いや・・・本当は馬鹿じゃないんだけどね。)
あいつらはあぁ見えて主席と次席。
さらにどこかの貴族かのように見目麗しく、スポーツもできるとなると女子たちがほうっておくわけがない。
それにめがねじゃないほうは実際にお坊ちゃまで遊び人だ。
女に苦労しているところなんて見たことがない。
そんな目立つ2人と一緒に行動しているせいで付属的に僕も目立つ存在となってしまっている。
この体質で友達なんて作れるはずない。いつか傷つけてしまうかもしれない。
だから学校では一人で過ごそう。
そう決めていたはずなのに今ではその中心とも言える場所にいる。
本当に強引だった。静かに本を読んでいた僕を強引に彼らは彼らの遊びに引き込んだ。
今ではその強引さに感謝している。そうじゃなければ、僕はこんなに笑って生活していなかっただろう。
背の高いアーチ状の扉をくぐって、僕は図書館の中に入った。
肌に触れる空気が違う。匂いも古びた本独特のにおいがする。
静かであるものの入り口付近の机は人が多い。
いろいろな本と羊皮紙を広げてなにかの課題に取り組んでいるんだろう。
そこを通過して僕は少し奥まった場所に設置してある机に向かった。
僕は本を読むだけ。
だから羊皮紙と羽ペンがすりあうカリカリと言う音がする場所では本を読みたくはない。
(・・・あ。)
ステンドグラスからもれる光が当たる奥まった場所の机。
そこにはすでに先客がいた。
蜂蜜のような金髪。
どこまでも淡い、みかたからすれば金色のような茶色の瞳。
あどけない表情はまるで少女かのような人物。
視線は本の上にあるものの、文字を追っているようには見えない。
机の上の本のそのページをめくるような仕草は見受けられなかった。
「フランツ・・・?」
名前を呼ぶとぴくりとわずかに肩が動き、不思議そうな表情でフランツは僕の方に視線をよこした。
そして僕の姿を認めると美少女のように甘い笑みを浮かべる。
「・・・リーマス。どうしたの?」
「それはこっちのセリフ。」
「え?」
近づいて、彼の隣の椅子を引いて隣に腰を下ろす。
ただでさえ大きい瞳をきょとんとさらに大きく開いてフランツは首をかしげる。
机の上に本を置いて、その上にひじを置いて。
首をかしげてその上にほほを乗せてフランツの方をみてにっこり笑うと
フランツはどこか居心地悪そうに微笑んで僕から目線をそらした。
こんな態度をとるなんて何かあったといってるようなものだ。
フランツは名家ウィクリフのご子息だなんて思えないほど優しい。
それは有名なことだ。
そしてその彼が特に大切に思っている人物。
フランツをこんな状態にするなんてそいつが原因以外に考えられない。
「・・・となにかあったの?」
「な・・・んで!?」
驚いて疑問の形をとっているものの、これはどうみても肯定。
そもそも彼をこんな風にさせるのは関係だけだというのは最初からわかりきっていたことだ。
「なに?けんかでもした?」
「うぅん・・・違う。」
もフランツのことを大切に思っているからけんかなんてめったにしないだろうけど
もしかするとと思って聞いてみた問いはどうやら見当違いのものだったらしい。
だとすればなんだろう。真顔で少し首をかしげフランツの顔をじっと見つめていると
フランツは視線を左から右。右から下。とさまざまな方向へ泳がせる。
「フランツ。」
やわらかく名前を呼んであげると彼はピクリと肩を揺らし
ぎぎぎと音がするのではないだろうかと思うほど固い動作で僕の方へ視線を向けた。
にっこりと微笑み。先を話せと無言の催促をするとフランツは困ったように眉を下げ
きょろきょろとあたりを見回してから僕に視線を戻した。
「いきなり信じて。っていうのは難しいかもしれないんだけど・・・。」
「うん?」
「今日の夜・・・君になにかあると思うんだ。」
「え?」
あまりに話の内容が漠然としすぎていて、僕は目をきょとんと開いてフランツの顔をうかがい見た。
そうするとフランツはほほを赤く染めて、視線を下に向けてしまう。
「そのっ・・・!詳しくはいえないんだけど今日、僕に先に寝てて。って言われて・・・!」
そういいながらフランツの声になんだか泣きそうな色が含まれてくる。
なんでフランツが泣きそうになっているのかわからない。
僕は混乱する頭でフランツの頭に優しく手を置いて彼の頭をなぜた。
「えっと、フランツ。」
「な・・・に・・・?」
頭をなでているとさっきより少しだけ落ち着いた声音でかえってきた。
その事実に少しだけ安心して、頭をなでていた手をはなす。
「今日の夜には何かがあって、だからフランツは先に寝てて。って言われた。ってことだよね?」
「・・・うん。」
話をまとめてみてそう問いかけるとフランツはコクリとうなづく。
僕は指を何本か頬の隣に持ってきてやわらかく首をかしげる。
「その何かって何?」
「・・・・。
わからない。」
「わからない?」
わずかに眉を寄せて言葉を返してしまうとフランツはびくっと少しおびえた表情を見せた。
「あぁ、ごめん。フランツに怒ってるわけじゃないんだ。
でもわからないってどういうこと?」
「・・・ごめん。いえない。」
耳と尻尾が彼についていたとしたら確実に垂れ下がっているのだろうと思えるほど
フランツはしょげこんだ。そして茶色の瞳がこちらを向く。
「でも・・・!なにかがあることは確かなんだ!
僕、君に何かがあると思うと・・・・っ!」
「・・・フランツ落ち着いて。」
彼の頬に手を添えると彼はわずかになきそうに顔をゆがめる。
「僕が・・・いや僕たちが今夜の後つけて行ってみるよ。」
「・・・本当?」
「うん。それなら君も安心だろう?」
微笑みを深くしてそう告げるとフランツは泣きそうな表情のままやわらかく笑みを浮かべた。
その姿は本当にきれいなもので、が大切にしたいと思う気持ちがよくわかった。
「ありがとう・・・リーマス。」
「どういたしまして。」
さぁ・・・夜に何が起こるのだろう。
とにかく同室の友人たちを巻き込まなくてはいけないことだけは確かだった。
2007/09/26
あとがき
主人公さんまったく出てこないという罠^p^
リーマスもフランツ相手には黒くなれないんです。
彼は天使なんです 待