「お前ってそれに似てるよな。」
「あぁ?」
膝の上に寝てるフランツの頭を乗せて彼の髪をすいていたは
意味がわからないとでもいうように眉根を寄せて不機嫌そうに俺に声を返した。
反対側のソファに座っていた俺は不機嫌な表情を向けられたので
少しむっとしながらベットのサイドテーブルに置いてある花瓶に生けられていた花を指差した。
「ソレ。」
「あー。これな。名前しらねぇの?」
「花には興味ない。」
「ほぉ・・・覚えろよ。ご婦人口説くにはもってこいだぜ?」
くすくすっと年に似つかわしくない笑みを浮かべて
は俺に挑戦的に笑みを向けた。
「桜。っていうんだ。日本にいる俺の友達が送ってきた。」
軽く肩をすくめ、はサクラとかいう花に目を向ける。
おそらく木に咲く花なんだろう。
そこにいけてあるのは茎じゃなくて、茶色い枝だ。
小ぶりの5枚の花びらをもつ淡いピンク色の花。
一つ一つは小さいのに随分と存在感がある。
「かったい蕾のまま送ってきたから咲くか心配だったけど・・・
案外咲くもんだな。もうちょいだけど。」
がそういったとおりまだ満開というほどまでは花は開いていない。
たぶん5分咲き程度なのだろう。まだ蕾のままの花もある。
それでも十分美しいものだ。
「というかお前、友達ここ以外でいたんだな。」
親しい間柄にのみ許される俺の冗談である罵りに
はにっこりと完璧な笑みを浮かべて肩をすくめた。
「おうよ。悪いか?自慢じゃねぇけど、ここ入るまでの友達なんてソイツだけだ。」
「本気で自慢にならないな。」
呆れた目で返してやるとはとても楽しそうに笑う。
こうやって今は笑ってるけど、ここに入るまでのの生活は相当縛られたものであったらしい。
小さい頃一度だけコイツがいた屋敷にいったことがあるけれども
に自由というものはなかった気がする。
「わざわざ日本からこっちまで俺に会いに来た依頼主のボンボンでさぁ。
なんだっけ・・・オンミョウジ?それの家系らしいぜ?」
そういう顔が妙に嬉しそうで。
にそんな顔させるやつのことを俺はしらない。
それが妙にむかついて、俺は眉根を少しだけ寄せた。
「なぁに?妬いてんのお前?」
人差し指を口元に持ってきて、妖艶に笑みを浮かべては小さく首をかしげる。
その仕草に一瞬鼓動が高鳴ったのを感じ、俺はの金色の瞳から逃れるために目線をそらした。
「んなわけねぇだろっ!」
あぁ、これじゃ妬いてる。っていう答えと同じだ。
いや俺とはそういう関係じゃねぇけど。
はくすくすと相変わらず楽しそうに笑みを浮かべた。
その姿が本当に同い年かと思うほど妖艶で。
それが咲きかけのサクラにひどく似ている。
「やっぱり似てる。」
「は?」
「サクラに。」
「それは光栄。」
踏ん反りかえる様にソファにもたれかかり、は笑みを浮かべた。
そして何か思いついたような表情をしてから、俺に人差し指を立ててみせる。
「あ、そーだ。日本にはさ、お花見ってやつがあるんだよ。」
「・・・だから?」
いまいち意味が分からなくて先を促してみると
は薄く唇の端を上げて笑みを浮かべる。
なんだか嫌な予感がする。
「俺に酌せ、ボンボン。」
「はぁっ!?意味わからねぇよ!」
「あ、俺の机の一番下の引き出しに入ってるから。」
「ふざけんな!!」
人の意見をまったく聞かずに楽しそうに笑みを浮かべながら話をすすめるに
思わずソファから立ち上がって反論するとはわざとらしく困ったように息を吐き
膝の上のフランツの頭を優しくなぜた。
「ほら、俺、動けねぇし。お前もフランツ起こしたくないだろ?」
「・・・っ!」
随分と痛い所をつく。
天使のようにあどけない顔で眠っているフランツを起こすことなんて
母性とか父性とかもってる人間には確実に出来ない。
このまま寝かせとかなければ。と思わせる何かを眠っているフランツは発している。
そして当然俺もフランツを起こすようなことはしたくない。
「くそっ!」
「どーも。」
しぶしぶの机に向かい、一番下の引き出しをあけるとかなりの種類の酒が入っていた。
・・・未成年だろ。と思わず頭の中でつっこみを入れたくなったが俺の部屋も似たようなものだ。
それにこいつの酒のストックはこれだけではない。
確か前はクローゼットからヴィンテージ物のワインを出してきていた気がする。
「で、どれだよ?」
顔だけの方に向けてそういうと、は目線を斜め上にして少し考えるような表情を作った。
「んー。鬼殺しと魔王と伊蔵と黒龍と・・・。」
終わりが無さそうな言葉に俺は引き出しの中につっこんで
に言われた銘柄を調べていた手を止めて、目を据わらせてをみた。
「・・・昼からどんだけ呑むつもりだ。」
「えー。オールでいこうぜ、オールで。どーせ明日も休みだし。
あ、ついでに馬鹿とリーマスとピーター呼んでこいよ。」
確かに今日は土曜日で明日はまた休日だが、
おもわず頭が痛くなって額を片手で覆うとはきょとんと首を傾げて見せた。
「どうした?」
「・・・なんでもない。」
その表情がわざとだと知っている俺としてはとても対処しづらい。
わざとだと指摘しても確実にのらりくらりとかわされるだけだ。
無駄なことで体力は消費したくない。
「で、そいつらを呼んでくるのは俺か?」
「当然。」
勝ち誇った笑みではそうのたまったので俺は盛大に息を吐いた。
しかし、突然が何かを思いあたったような表情をしたので
俺は小さく首をかしげて話を促した。
それに答えるようには言葉を発する。
「ちなみに今、馬鹿たちはなにしてんの?」
「スネイプに悪戯してる。」
「またか・・・あきねぇなぁ・・・。セブルスかわいそー。」
困ったように笑いながらは窓の外を見た。
陽気な日差しが窓から差し込む今現在の時刻は午後2時。
悪戯の最中だろうか。捕まえるのは少し難しいかもしれない。
もそれがわかったのか、くすりと微笑みながら肩をすくませた。
「じゃぁ、とりあえず。二人で飲むか。
ほら、酌せ、ボンボン。」
「お前、俺のことボンボンっていう割りにはそういう扱いしねぇよな。」
「なんだ?そういう扱いして欲しいのか?」
「・・・いや。」
そんな扱いされると今までの扱いからの変容にこっちが薄ら寒くなるだけだ。
そもそも俺はそういう扱いするやつを友達には持ちたいと思わない。
友達っていうよりどっちかというと部下って感じだし。
俺の家柄目当てで近づいてきてるってすっげーわかるし。
だからこのままのほうがいい。
俺は言われたとおりにまずは魔王をのグラスに注いだ。
「じゃぁ、美しい桜に。」
俺のグラスにも酒を注ぎ終わったのをみると
は少しだけグラスを上げて桜にささげ、グラスに口をつけた。
こくりとの白い喉がなる。
咲きかけの桜と。
酒をのむと。
それがひどく妖艶な光景を作り出していて、それだけで俺は酔ってしまいそうだった。
2007/04/06
あとがき
セブには酒呑んだら怒られたらいい(笑)
フランツも怒りそうだけど。むしろすねる?うっわ!かわいい!(待)
・・・まぁ、セブがこの面子に呼ばれたら楽しいかといわれると
確実に楽しくないという答えが返ってくるだろうな。
バイトに行く途中に思いついたネタでした。
うん、末期や、自分。