「リーマス!」



知らない女子の声・・・否、修正。

良く知っている男の女版の声が聞こえて僕は少しだけ笑みをたたえて声のほうをむいた。



「よっ。」



階段の上から手を振る彼女はそれ自体が光るような白の長い髪。

今はそれをゆるく三編みにして肩から下ろしている。


僕と視線があうと金色の瞳が嬉しそうに少し微笑んだ。

僕もつられて笑みを浮かべる。



「どうしたんだい。?」



上を向いてそういうとは階段の手すりに肘をかけてにっこりと微笑んだ。

人形のように美しい造作。



「お前、今フリー?」


「どういうことだい?」



ものずごく簡潔な言葉。だけど大体話の内容はつかめてはいる。

でもわざと分からない振りしているというのも面白い。

意地が悪いとは思うけど、この性格を自覚しているのだから見逃して欲しい。


それには僕がわざとこのような態度を取っているということは分かっていると思う。

その証拠には手すりに肘をかけたまま笑みを深めた。

それと同時に妖艶な雰囲気が漂い、それにあたったように周りにいた生徒達の足が止まった。



「ホグズミード一緒にいかねぇ?フランツが今回はいかねぇらしいから俺、一人なんだよ」



予想通りの言葉に僕はにっこりと微笑む。

4年は今からホグズミードに行く事になっているからそのお誘い。


ジェームズとシリウスと行くことになっていたけど彼らはきっと僕が抜けても問題ない。

ただ、僕が誰と一緒にホグズミードにいったかということは問題にするだろうけど。


周りの好奇の視線など気にせず、は階段をゆっくりと一段ずつ降りて僕の方へやってきた。

そしてそのまま僕の顎の下らへんに人差し指を当てて、僕の顎を少し上げるような体制をとった。


目線だけ下げると、長い睫毛に覆われた金色の瞳と視線が合う。

ふっと笑みを浮かべられるとそれだけで壮絶な色気が漂い、僕は思わずごくりと喉を鳴らした。



「いくだろ?お前なら。」


「もちろん・・・だよ。」



その言葉には満足したのか、瞼を一度伏せてから笑みを浮かべ、僕の腕に己の腕をからませた。 

小さく目を開いてから微笑むとも楽しそうに微笑んだ。


何時もより少しゆっくりめの速度で城の中をあるいていると、好奇の視線をあちらこちらからむけられる。

歩くだけで視線を集める。その隣にいるのが僕だというのがなぜか楽しくなった。

ちらりと視線を横に向けると、も視線を向けていつもよりふっくらとした桜色の唇の端をあげた。



「Mr.、Mr.ルーピンこちらですよ!」


「Pr.マグゴナガル。私はいまMs.ですよ?」



城の外に出てマグゴナガルに声をかけられるとは冗談じみた笑みを浮かべて僕の腕に抱きついた。

マグゴナガルの額に僅かに皺が寄ったような気がして

僕は困ったようにに視線をむけると、マグゴナガルは深く深く息を吐いた。



「あなたはMr.です。」


「見紛うことなき美女なのに?」


「それはMr.ジェームズたちのせいでしょう?」



あ、マグゴナガル。見紛うことなき美女を否定しないんだ。

確かにかなりの美人だけど。



「まぁね。俺はこの状況愉しんでるから別にいいんだけど。」



はクスリと笑い、絡ませていた腕を解いた。

それに名残惜しさを感じるのはおかしいのだろうか。


僕とは列の最後尾に着く。

マグゴナガルが先頭に立って、4年の列が動き出した。


一番前で五月蝿く騒いでいるのは、間違いなく黒髪の悪友二人だろう。

きっとその横でピーターがおどおどとマグゴナガルの様子を伺っているのだと思う。



「あ、そうだ。。」


「ん?」



横になって歩いたので、は少し前から斜め後ろに僕の顔を覗き込むような体制になった。

歩みは止めないが、転ぶような気配は全く無い。

それに感心していると、雪と同化しそうな程白いの髪が肩から一筋落ち

僕は当初の目的を思い出した。



「ダンスパーティ、シリウスの誘いに乗ったらしいね。」


「あぁ。」


「どうして僕じゃ、だめなの?」



少し黒い空気をにじませてそういうとはそれを気にすることなく

どこか楽しそうに微笑み、視線を僕から先頭の二人のほうへ向けた。



「・・・ホグワーツ一の美男を競い合ってる二人だぜ?
 んでもって俺は今泣く子も黙る絶世の美女だ。」



普通ならアホか。といいたくなるところだが、は本当にそうなんだから仕方が無い。

自信に満ち溢れた声できっぱりと言い切り、は少し長めの前髪を掻きあげた。



「絵柄的にぜってぇ美しいことこの上ない。最高のみせもんだ。
 そして、俺達みてどぎまぎするやつら見んの最高に楽しくねぇ?」


「・・・。」


「んで、もってさらにシリウスからかうのすっげぇ楽しみ!」



多分最後のヤツがいちばん楽しみなのだと思う。

ぐっと親指を立てて言うの金色の瞳がとても楽しそうに輝いている。

黒髪の眼鏡じゃない方の悪友に少し同情した。




ホグズミードについて、がまず最初に向かったのは『三本の箒』だった。

とりあえず席について荷物をおき、僕は席を立ちながらに問いかけた。



、バタービール頼んでこようか?」



は一応、只今女性なのだから紳士の僕としては女性を働かすわけにはいかない。



「んにゃ、いい。」


「?」


「一回、女でやってみたかったんだよ。」



はどこかあくどい笑顔を浮かべてから、カウンター席の方へ寄っていった。

カウンター席に座っている二人組みの男の前に来て、突如のまとう空気が変わる。

『三本の箒』は随分と繁盛しているため、

まわりの雑音に紛れて何を話しているのかは良く分からないが、少しだけ聞き取れる。



「・・・でも私、あんまりお金もってなくて・・・。」



は弱々しい声を出して、

胸元で軽く片方の手を握り、相手の顔を覗き込むようにした。

カウンターに座っていた男の喉がなったようなそんな気配がする。

しばらくするとがバタービール2つとポッキーやポテチの入った皿を持って戻ってきた。



「お帰り。どうだった?」


「すっげー楽しい。」



バタービールをおきながらそういった笑顔があまりにいい笑顔だったので

僕は小さく噴出した。










2006/05/05