煌びやかに飾られた大広間。

浮き立つ空気。

そんなこといってる俺も例外じゃなく、気持ちは浮きたっていて

洗顔と歯磨き粉間違えるとか、そんな細々としたミスを朝から連発していた。



『バカでしょ。キミ』



そんな俺を見て鳶色の髪の悪友は飽きれた顔でそう言った。



(うるせぇよ。)



お前は対して気もない一般女子と組んでるだろうけど、

こっちは男といえども初恋の相手なんだ。

しかも今は女だとかいう最高のシュチュレーション。

浮かれないやつなんていないだろ。


今日のために家にいって作らせた黒いドレスローブを身に纏い、

髪をオールバックにして俺は鏡の前に立った。



「さすが色男だねぇ、シリウス。」



ジェームズが俺の肩を持って後ろからのぞきこむようにしてそう言った。

こいつは例の如くリリーと組むらしい。

嬉しいという高る気持ちが俺の肩をつかんでいる手から伝わってきた。



「もう一人の色男はどんな風にバケルかなぁ?」



もう一人のと聞いたところで俺の鼓動が大きく跳ねる。

心底愉しそうな友人の顔を眉を寄せてにらみつけるようにして見てやると

友人はおどけたように肩をすくめた。



「そんなに怖い顔しなくても
 今日はキミの邪魔をしてをとったりなんてしないよ。
 なんたって今日は愛しのリリーとのダンスパーティなんだからね!」



両手を広げてジェームズは高らかに言い放つ。

俺は目を細めながらそれを見て息を吐いた。

リーマスに馬鹿よばわりされたがコイツのほうがよっぽど馬鹿だと思う。

なぁ、そう思わねぇか?



「さぁ、シリウス!愛しの姫達を迎えにいこうじゃないか!!」



扉に向かいながら高らかにそう言い放つジェームズ。

本気で嬉しいんだろうなコイツ。と思いながら俺は苦笑をもらして部屋の扉に向かった。

気持ちが浮きだっているせいか、足取りも妙に軽かった。




◇◇◇




用意はやはり女性の方が時間がかかるらしい。

グリフィンドールの談話室につくと男子達の視線は一様に女子寮の方に向かっていた。

そんな中で俺、ただ一人が先ほど出てきた男子寮のほうを向いている。


隣でリーマスがつまらなさそうに欠伸をしてみせる。

そしてちらりと女子寮に視線をむけてから俺をみた。



「なんだよ」


「キミにをとられたのが悔しくてね。
 ま、が選んだんだから譲ってあげるけど
 滞りなく1日が過ぎるとか考えてたら甘いから」



いっそ恐ろしいほど綺麗ににっこりと微笑みやがってリーマスは俺から離れていく。

あいつも悪戯仕掛人の一員であって、敵に回すと相当厄介なやつだ。

いや、最も厄介だと云ってもいいかもしれない。


どうやって対処しようかと思考に沈んでいると

男子寮のほうの階段からカツンと男子の靴にしては高い音がきこえた。

つられるように視線をあげてみるとそこには予想通りの相手がいた。

それ自体が光っているかのような白い髪を高い位置で一つにまとめあげ、

ピンク色の上品なドレス。

薄く化粧をした顔の中で金色の瞳が宝石のように美しく存在していた。

その瞳が俺を見付け、桜のように綺麗な色の唇が弧の形を描く。

その表情が同い年と思えないほど艶やかだった。



「よぉ。ボンボン。待たせたな。」



顔に似つかわしくない荒い言葉使い。それさえも似つかわしく思う。

その言葉とともにすっと手を差し出されたので俺は迷わずその手をとった。

俺の背後つまり談話室内が騒がしくなる。

どうやらの姿をみつけだしてしまったらしい。

目の端にちらりと倒れそうになったり赤面したりするやつの姿が映った。

それを満足そうな目でみるもんだからは本当にイイ性格をしていると思う。



「お前なぁ…。」



あきれたような声を出すとは腰に手をあてただ愉しそうに微笑んだ。



「いつものことだろ?今更気にすんなよ。」


「まぁ、確かに。」



苦笑を浮かべて見せるとも笑みを深くする。



「で、ボンボン。ちゃんとエスコートできんのかよ?」


「当たり前だ。俺を誰だと思ってんだよ。」



腐っても名門シリウス家の嫡子。

それが女性のエスコートぐらいできなくてどうする。


まわりから視線が面白いほど集まる。

小さく黄色い声を上げる女子や倒れそうになるヤツとか鼻血出すやつとか。

はそれをさして気にしてない風を装っていても心の中では愉しんでいる事がわかるような

とても良い笑顔をしていた。



「ねぇ、シリウス君。私達とっても注目されてるみたい・・・。」



桜色のふっくらとした口元に人差し指を持ってきて長い瞳を伏せてから

は俺を上目遣いに見上げた。

鼓動が高まるのがイヤでも分かって、

もしかしてにも聞こえてるんじゃないだろうかという心配さえしてしまう。

追い討ちをかけるようにはきょとんと可愛らしく首を傾げる。



「シリウス君・・・?」


「・・・それやめねぇ?」


「どうして?」



何時もの口の悪さからは想像できないほど乙女な喋り方なのに

これが元からの話し方でしょ?とでも言いたげにはきょとんと目を丸くする。

きっと中では爆笑してるんだろうけれども、ものすごく純粋そうに。

ここまでポーカーフェイス創れるコイツは一種天才だと思う。

片手で顔を覆って俺が下を向いてしまうとはくすくすと可愛らしく笑った。



「変なシリウス君。」


「なぁ、本気でやめねぇ?」


「イヤよ。もう暫くシリウス君の反応見て愉しむの。」



俺から離れて少し前に小走りで走り、は此方を向いて後ろで手を組み首を傾げた。

それすらも様になっていて、良家のお嬢に普通に見える。

事情を知らないやつがいたら確実にそう思うだろう。


けれどもこのホグワーツでがこうなっていることを知らない人物はいないから

そんな想像は意味を成さない。

それほどまでにホグワーツでのの存在は大きい。


小さく溜息をついての方によるとは悪戯気な笑みを浮かべて

俺の腕に抱きつくようにして腕を絡めた。

柔らかいものがあたって再び鼓動がはねる。

の方を見てみるとにんまりとした金色の双眸と視線があう。


きっとこれも計算しての事。

だけど怒る気になれないのはコイツだからなんだろうな。




俺は初恋の相手にどうやら滅法弱いらしい。






2006/06/07


アトガキ


この主人公さんで目指すのは色気なんです。実は。
ものすっごい色っぽいの。本人それ気づいててそれ磨いてる感じ(笑)
目的はもちろん人をからかうため。
そんな主人公さん。

さぁ、リーマスをどうやって絡ませようかな