が決めたのだから、恨むことはお門違いだって分かってる。
だけどむかつくものはむかつくものに代わりはない。
第一僕の方が先にお誘いを出したのに
どうしての相手はあのシリウスなんだ。
本人に聞いてみたところ
『シリウスからかうのすっげぇ楽しみ!』
とか、とてもらしい答えが返ってきたのだけれども
やっぱり納得できない。
ホグワーツで1位2位を競う美男子。
その二人そろえばまるで巨匠の絵画から抜け出してきたのではないかと錯覚させるほど
美しい空間が出来上がる。
しかも今回は片方が女なモノだから
確かに彼が言うとおり、ただいるだけで周りのもの達をどぎまぎさせるには十分だろう。
「リーマス君?」
ふと自分を呼ぶ声に我に返り数回瞬きをしてみると自分より少し下から
綺麗な夏空を思わすスカイブルーの大きな瞳が僕の鳶色の瞳を覗き込んでいた。
に断られたからどうでもいいやー。とか思って最初にすれ違った子をお誘いをした。
このレイブンクローの女生徒が今回のダンスパーティーのお相手。
にはかなわないとしても適当に選んだにしてはかなりの美人を手に入れられたと思う。
あの時点で彼女にまだ相手がいなかったということに驚くほど美人だ。
少し不思議そうに僕を覗き込む彼女に僕は小さく首をかしげて微笑んで見せた。
「ん?何?」
「眉間に皺よってるけど、大丈夫?」
いつもはポーカーフェイスで通っている僕が
どうやら相当顔に出していたらしい。
どことなく苦笑いを返してみせると彼女は小さく息を吐いて視線をある方向へ向けた。
その先には優雅に踊る一組の黒と白のコントラストの二人。
「気になってるの?」
「まぁ・・・ね。」
嫌がるシリウスにコレでもかというほど身を寄せてチークを踊っている。
そのの表情があまりに楽しそうで
僕なら、あぁはいかなかっただろうと思うのがちょっと口惜しい。
そしてがシリウスを選んだ理由に納得しそうな自分がいて
それがまたちょっと口惜しい。
「邪魔しに行く?」
彼女が唐突にいった言葉に僕は目を見開いて彼女を凝視した。
くすりと綺麗にルージュの引かれた桜色の唇の端を上げて華やかに彼女は微笑んでみせる。
「・・・いいかもね。」
僕はすっと彼女に手を差し出す。
彼女はそれに優雅に手を載せて、僕達は目線で示し合わせて歩き出した。
近づいてきた僕達に気がついたのかが此方をむいてにっこりと微笑み動きを止めた。
「よぉ、リーマス。どうかしたか?」
顔とのギャップが激しい荒い言葉遣い。
そんなに微笑を返してからシリウスには別種の笑みを向けて見せた。
ひくりとシリウスの頬の筋肉が動く。
(うん。いやな予感がしたとしたなら正解だよ、シリウス。)
心の中でほくそえみながら視線をに戻してみると、
僕の相手だった彼女が甘えるようにを上目遣いで見ていた。
「君が女の子になる前だったら私お誘いしようと思ってたのよ?」
「まじ?俺、勿体ねェことしたなぁ。」
(あぁ、だから)
彼女は僕が声をかけるまでフリーだったんだ。
を誘うつもりだったならソレも納得できる。
他の男には目もくれなかったんだろう。
でもあの時ははシリウスといく。って決めた後だったから。
きっと僕と利害が一致したんだ。
がきょとんと目を丸くして彼女をまじまじとみる。
「んー。相手してやりてェのはやまやまなんだけど
百合って思われんのはなんかなぁ。」
(じゃぁ、薔薇はいいのか。)
普段の行動を振り返ってみて僕は心の中で突っ込みを入れた。
ジェームズと如何わしい雰囲気を出しながら抱き合ってたり
嫌がるシリウスにキスしてみたり。
僕とあらぬ想像させる甘い会話を愉しんでみたり。
あげだすとキリがない。
「よし!じゃぁ、俺は無理だから。生け贄差し出してやるよ。
いけ、シリウス。」
「はぁ!?」
「め い れ いv」
うふっと回りに花を飛ばしながらは微笑んでシリウスを僕の相手だった彼女に差し出した。
彼女はにっこりと微笑んで嬉しそうに胸の前で手をパチンと合わせた。
「あら、素敵。」
むしろアナタがかなり素敵な性格だと思います。
半分呆れながらやり取りをみているとがとても楽しそうに微笑んだ。
「まぁ、俺に勝らずとも劣らない美男子だ。コレやるから愉しんでv」
「待て!!なんでお前に決定権があるんだ!?」
「んなもん、俺様だからに決まってんだろ。ほらイケや。」
はまるで子犬を持つようにシリウスの首の後ろ側の服を掴む。
シリウスが恨めしそうにの顔を覗き見た。
それににっこりと微笑んで返しは背中を強く押した。
ひらひらと手をふりながら彼女に手を引かれていくシリウスを
と一緒に見送って僕はと向き直った。
「二人になっちゃったね?」
「そうだな。」
「一緒に踊る?」
小さく首をかしげながらに手を差し出して聞いてみると
は苦笑いを浮かべながら僕の手に手を重ねた。
「計算済みだろ?」
「まぁね。」
一瞬ばれたかと動きを止めたがあれなら気がつかれて当然だと想いなおし
苦笑いを浮かべて返した。
「でも彼女の行動は何も打ち合わせしてないよ?」
「へぇ、すげぇな。」
は楽しそうに微笑んでシリウスたちの方向をみた。
困ったような表情をしながらワルツを僕の元相手と優雅に踊っている。
此方の視線に気がついて眉間に皺を寄せて見せたのでと僕はにっこりと微笑んで返して見せた。
視線をの方に戻すと
は歳に不相応な艶っぽい笑みを漏らして僕の指に自らの指を絡ませた。
「今は俺だけを見ろよ。」
「じゃぁ、君も今だけは僕を見て。」
「おぅ。」
にかっと微笑んだその美女の笑顔はとても眩しくて。
そばにいる。それだけで嬉しくなった。
暫く一緒に踊って。踊ることにも飽きてきて。
火照ってきた体を覚ますために僕達はテラスへと出た。
冷たい風が体を撫ぜる。火照った体にはそれが丁度よくて
僕は目を閉じてその感覚を愉しみながら、空を仰いだ。
「なぁ、リーマス。」
名前を呼ばれて空からに視線を戻す。
「何?」
「今からすっげぇロマンチックになるぜ?」
「?」
一瞬意味が分からなくて首を傾げて見せると
は楽しそうに笑って空を仰ぐ。それにつられるようにして僕も視線をあげると
空から何かが舞い降りた。
ふわふわ。ふわふわ。とゆっくり落ちてくるそれが頬に降り立ち
冷たい感触の後に僕の熱でゆっくりと解けて頬を流れていく。
「雪だ・・・。」
「な?すっげぇロマンチック!
ホワイトクリスマスだぜ!ホワイトクリスマス!」
子供なんだから当たり前なんだけど
は子供のように満面の笑みを浮かべて楽しそうにはしゃぐ。
「、もしかして僕にコレを見せるために外に出た?」
「さぁな。」
くすくすっとは微笑んで両手で雪を受けるように空に手を掲げた。
雪と同化しそうなほど白い肌とそれ自体が輝くような白い髪。
このまま消えていなくなってしまうのではないだろうか。
そんなあらぬ心配が心のうちからわき上げって来て
に手を伸ばしかけたところでテラスの扉が開いた。
「あら先客ね。」
「僕の愛しのとリーマス!実に奇遇だね!」
「おー。リリィ、ジェームズ。」
「やぁ。」
突然の来訪者に気付かれたくなくて
僕は伸ばしかけていた手を急いで引っ込めて微笑を浮かべた。
「あれ?シリウスはどうしたんだい?」
「あら、本当ね。。どうしてシリウスと一緒じゃなくてリーマスと一緒なの?」
「ま、いろいろあったんだよ。なぁ、リーマス。」
「うん。」
楽しそうな笑顔を浮かべて僕にそう投げかけたのでにっこりと微笑んで返す。
(大丈夫。ポーカーフェイス。ポーカーフェイス。)
半分呪文のように心の中で唱えながら僕はその場をやり過ごした。
さっきなぜか一瞬泣きそうになった。
なぜだか分からない。が消えてしまいそうな気がした。
『気がした。』
ただそれだけなのに。
なんだか泣きそうだった。
2006/09/21
アトガキ
・・・あれ?ギャグにする予定だったのに・・・なぜ?
なぜ!?
なんかリーマスが暗い世界に浸ってる。なんでじゃ。
というかなんかBL色濃いよね、今回。
リーマス⇒男主で。
シリウスの扱いがひどい。
でもそんなシリウスが一番好きキャラです(ぇ)