雪が降ってきた。だから当然といっちゃ当然で外は寒い。
しかも俺は女物とか着ちゃってるわけだから余計寒い。
そう思うと男のドレスローブっていいよな。
股下に風なんか通んねぇし。
まぁ、そういうわけでリリィとリーマスと馬鹿つれて
再び室内に戻ってきたわけだ。
扉をくぐった途端柔らかく暖かい空気が全身を包み込む。
それに少し幸せを感じながら盛り上がっている最中の場へと足を進めた。
「ボンボンー。」
元リーマスのお相手と優雅に踊っていた黒髪の美麗な友人に声をかけると
一瞬まるで子犬のように嬉しそうな顔をしてみせてから、彼は不機嫌そうな顔に戻った。
ほんと、こいつって犬みてェ。
あー。でも忠実ではねぇな。ちょっとひねくれたワンコ?
「どうだった?姫君?俺と同等のヤツとのダンスは。」
「最高だったわ。」
近づいていって声をかけると彼女は踊りをやめてシリウスの腕に絡みつきながら良い笑顔で微笑んだ。
ちなみにシリウスはすっげぇ嫌そうな顔で俺を見てる。
「それにしてもすげぇな。クレーターみてぇじゃねぇの。
さすがだな、シリウス。」
たぶんあまりに優雅すぎて近づけなかったんだろう。
シリウス達の周りはクレーターのように人がいない。
半径3M以内近づくべからず。ってそんな感じ。
「うるせぇ。」
シリウスが不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、腕を組んだので
俺は苦笑を浮かべて彼女に視線を移した。
「わりぃな、姫。俺のパートナー返して貰って良い?
どうやら王子様のご機嫌取りしなきゃいけねぇみたいだから。」
うふvっと片手を頬の横に持ってきて花でも散りそうな笑顔を浮かべて見せると
彼女は少し顔を赤くしてからとても素敵な笑顔で頷いた。
ソレをみてからリーマスが彼女にエスコートのために手を伸ばす。
「じゃぁ、。シリウス。また後で。」
「おぅ。」
リーマス、意外とあっさり引いたな。と頭の端で想いながら
小さくなっていく背中を見送る。
となりをみてみるとシリウスがふてくされた顔をしていたので
俺はくすりと笑みを漏らした。
それにシリウスは更に機嫌を悪くした模様で眉間の皺を更に深くした。
「なぁ、王子。機嫌直せよ。」
「・・・それやめろ。」
「ん?」
「その・・・王子っていうやつ。」
「えー。お前王子じゃん。」
「・・・に言われると気色悪い。」
「うわ、ひっでー。」
俺がそういうとシリウスはふいっと俺から顔をそらした。
(やれやれ・・・。)
分かっていたとはいえ結構ご機嫌斜めみたいだ。
「シーリーウースー。」
「・・・。」
「シリウスー。シリウスー。」
「・・・。」
「ボンボン?」
「なんでそうなるんだ!?」
勢いよく振り返ってからしまったとでも言いたげに彼は目を泳がせた。
俺は腰に手を当てて満足げに微笑みシリウスを見上げて見せた。
「ようやくこっちむいた。俺の勝ちな?」
思わず突っ込んだお前の負けだ。シリウス。
口惜しそうな表情しても俺はお前を離さない。
ソレを悟ったのかシリウスは
ダンスパーティーの会場となっているホールを見渡して小さく溜息をつく。
「もう疲れた・・・。」
「そ?じゃぁ、抜けるか?」
シリウスがぽつりと言葉をもらしたので、俺はにっこりと微笑みながらそう提案してみせる。
するとシリウスはなんともいえない表情になった。
嫌だ。って言う表情ではない。だけど何かひっかかる物がある感じ。
まぁ、コレは了承の印ってことで。わかりにくい場合は俺基準。
「んじゃ、行こうぜ。ボンボン?」
俺が腕にまとわりついて歩き出すとシリウスが僅かに顔を赤くして俺から視線をそらせた。
でも嫌がってるそぶりはないからこのまま連れて行ってしまおう。
賑やかなホールとは全く逆に静まり返っている普段授業で使っている教室の方ヘ歩いていく。
昼間は生徒が行きかう明るいイメージの廊下であっても
今は僅かしか光がともっておらず、
人の行きかいもない夜の廊下はなんだか暗いイメージを与えた。
うーん。まぁ俺は夜の学校結構徘徊してるけど。
こっち側はあんま来た事ないからやっぱ印象はかわるんだよな。
あぁ、変わるといえば。
「シリウス、今日なんの日だか知ってるか?」
「・・・?
クリスマス・イヴだろ?」
さも当然とでも言うように返すシリウスに俺は口の端を上げてみせる。
何か含むものがあると気付いてか、シリウスは何度か瞬きをしてから首を傾げて見せた。
その姿が妙に様になってて、こんな薄暗くても美形だってはっきりわかる。
さすが俺が認めた美男子。
「ほかに何かあるか?」
「うっそ!マジで忘れてんの?
お前らさぁ、二週間前この俺に何したよ?」
「二週間前・・・。」
腕を組んで視線を斜め上に上げて少し考えるような仕草をして
俺に目線をもどし、頭のてっぺんからつま先まで見た。
まぁ、ということは思い出したな。
「・・・をこの姿にした。」
「そ、当たり。でもってこの薬の期限は?」
「確か2週間。」
「うん。だから明日には俺、また麗しの王子様スタイルに戻ってるわけだ。」
因みに何時戻るかは俺もはっきりは知らない。
神竜は教えようとしなかったし。無理に知る必要もないし。
「自分で言うな。」
シリウスが口の端を上げてにやりと微笑む。
俺はそれに同じようにして笑みを返した。
「その人を食ったようなお前の笑顔好きだぜ?」
「どうも。でもそれがどうした?」
まったく意図が分からないとでも言うように眉を寄せてみせるシリウスに
俺はにぃっと悪戯気に口の端を上げて見せた。
「俺が女のうちにチューしとけってv」
「はぁ?!」
廊下の端から端まで響き渡りそうなぐらい大きな声でシリウスは叫んだ。
予想通りの反応で俺は思わず顔がにやけてくる。
そして唇の下に人差し指を持ってきて、上目遣いにシリウスの顔を見上げる。
「この先、一生ないかもしれないぜ?女である俺とちゅーとか」
挑戦的に微笑んで見せるとシリウスは一瞬ピクリと反応を示した。
(そうだよな?お前結構負けず嫌いだよな?
俺はソレを知ってるんだぜ?)
「男の俺ともしょっちゅうしてるんだから
今さら嫌だとかいわねェだろ?」
「なっ!?アレはが無理矢理・・・!」
「シリウスが抵抗するのがあまりに可愛くて。」
「っ〜〜!」
シリウスは口惜しそうに頬を染めて俺から視線をそらした。
俺は自らの唇の下に人差し指を持ってきて、
何時もより細く白いもう片方の手をシリウスの肩に置いた。
ピクリと反応を示し、顔はあらぬ方向をむいたまま視線だけ俺に戻す。
ふ。と妖艶に微笑んで見せて彼の耳元に唇を近づけた。
「なぁ、やってみろよ?別に変じゃないんだぜ?
男と女のキスなんて。」
挑発的な色を滲ませてそういってやると彼は眉を寄せて頬を赤らめた。
俺が彼の首に両腕を回し顔を近づけるとシリウスは固く目をつぶる。
(やべぇ、可愛すぎ・・・。)
普段は常にやるほうだろうからやられることには慣れてないんだろう。
というか慣れてたらソレはそれで嫌だけど。
俺だけにこんな顔みせてたらいいのに。
とか想いつつ俺はシリウスの唇に己のソレを重ね合わせた。
その瞬間、体中の血が大きく脈打つ。
そして体に激痛が走り出し、俺は限界まで目を見開いた。
痛みにシリウスの首に回していた腕に力が入る。
しがみつかれたシリウスも痛いだろう。
だけど何かにしがみついていないと痛みで立っていられない。
異変に気がついたシリウスが目を開き
俺の様子を見て、更に大きく目を見開いた。
体中の骨がボキボキと音を立てていっているような気がする。
駄目だ・・・シリウスから離れないと。
このままじゃ痛みに耐え切れず彼の唇を噛み切ってしまいそうだ。
動かせば骨が折れるんじゃないだろうかと思うような体で
腕の力をゆるめて離れようとした瞬間、逆にシリウスに強く抱きしめられる。
眉を下げて彼の顔を伺い見ると
視線で大丈夫だからと伝えられたような気がした。
一際大きな痛みが来て、俺はシリウスに一層強くしがみつく。
それにシリウスが更に強く抱きしめてくれた。
辺りが白い閃光に包まれたと思った次の瞬間には
痛みは引いていて、ぐったりとした疲労が体に残っていた。
重ねたままだった唇を離すと、彼の唇からは鮮やかな赤がにじみ出ていて
申し訳なさを感じてしまい、下を向いてしまった。。
「大丈夫か、?」
「なんとかな・・・。」
久々に聞く、男の自分の声に思わず苦笑しながら彼をみると
シリウスは彼の上着を俺にかけた。
「なに?俺寒くないけど?」
「服見てみろ。」
シリウスはそう言いながら頬を赤くして俺から視線をそらした。
なんだ。と想い自分のドレスを見てみると
女の体にあわせてきていたものだから
ところどころが破けて、ドレスはみるも無残な姿になっていた。
俺は苦笑を漏らしてシリウスの上着を拝借する。
「そそられるか?」
「実にそそられるよ!!」
くすっと笑みを浮かべて首をかしげてシリウスに聞いてみたのだが
帰ってきた声はシリウスのものではなかった。
「お。ジェームズ。
なんでここにいんだよ?」
だるい体を動かしてジェームズの方へ近づきにっこりと微笑んで見せると
ジェームズはそれはそれは楽しそうに微笑んだ。
なんだか嫌な予感がするのは気のせいじゃないだろう。
「君達の様子が心配になったから様子を見にきたんだけどね。
ふふっ・・・それがねぇ。、シリウス!コレをみたまえ!!」
とても良い笑顔で馬鹿が取り出した一枚の写真。
シリウスと一緒にそれに顔を近づけてみる。
「・・・ジェームズ、お前っ・・・!」
シリウスが手の横で握りこぶしを作りそのこぶしをわなわなと振るわせる。
その写真は俺が男に戻ってからシリウスが俺に上着をかけるまでの写真。
ところどころドレスが破れて、ぐったりとした俺をシリウスが強く抱きしめていて
尚且つキス中。そして俺にシリウスが上着をかける。
みようによっては様々な想像が出来る代物だ。
そして・・・。
「俺が受けっぽいな。」
「だろ!絶対受けって流行ると思うんだ!」
「!お前なにいってんだ!!」
あれかジェームズ。それは女子の方々の間でのことか?
普段攻めな俺が受けってそんなにいいんだろうか。
まぁ、でも。
「いいんじゃね?面白そうだし。」
「さすが、僕の愛しの!
今度は僕が攻めの写真を撮らしてくれ!」
「おぅ。いいぜ。」
「!!」
ジェームズが俺に抱きつき、シリウスが俺に怒鳴る。
なんだかようやく日常が帰ってきたような気がした。
2006/11/26
あとがき
ようやく女装(?)イベント終了した・・・!
気がついたらそろそろ時世にあった話になろうとしてるのが怖いです。
これ初めたんいつなんかなぁ(汗)
かなりお待たせしてすみません!
こんな感じでしめてみました。
ねぇ、全開の反省を生かし、今回はギャグテイストでお送りしました。(ぇ)
本来、ハリの基本はギャグ予定なんだ。でも時々シリアスが入るそんなお話。
生暖かい目で見守ってあげてくださいー。
さて、これから暫くハリは子世代の賢者の石に励もうかと。
ただしあくまで予定です(待)