人間界から尸魂街にもどってすでに8日が経とうとしていた。
同時にあいつに会って8日目でもある。
『また遊びにこいよ。』
穏やかなテノールの声を思い出す。あたまをなぜられた柔らかい感触。
しかし俺が今、頭に思い描いてる人物は、俺のことを覚えてはいない。
この手で自ら彼の記憶を奪った。
ここのきまりなのだから。
当たり前のことをやっただけなのだから。
やらなければ良かった。などと思う自分はきっとどこかおかしいんだろう。
「たーいちょ。また眉間に皺寄ってますよー?」
「松本…」
いつも仕事をほったらかす俺の副官が俺の眉間に人指し指でふれた。
俺は更に眉間に皺をよせ、松本の手を振り払う。
「あー。なんですかー。それはー。」
「…」
松本の言葉を無視して書類の片付けを再開すると
松本は腕をくんで俺の顔をのぞきこんだ。
「隊長もしかして…。」
「…なんだ?」
視線を書類からあげると松本のにんまりと楽しそうな笑みが目に入った。
ますます眉間に皺が寄るのを感じながら俺は松本の顔を見る。
一体なにが言いたいというのだろうか。
「なんだ。といっているだろ。」
「別になんでもないですよー。ただねー…?」
ちらっと俺をみてから松本は楽しそうに笑った。
その態度に俺は深くため息をついてから席をたって羽織を手に取った。
「あれ、隊長ー。どこいくんですか?」
「…散歩だ。」
「いってらっしゃーい。」
松本がひらひらと手を振るのを目の端で捕えながら俺は部屋を後にした。
あいつ…の頭の中には俺といた時間の代わりに
いったいどんな記憶がすりかわっているのだろうか。
自分は覚えているのに相手は覚えていない。
それがとても寂しかった。
(あぁ、そういえば。)
は死神が見える。ということは霊力が高すぎる。
つまりなんらかの措置をとらなければいけないと言うこと。
俺としてはかなり珍しいミスだとは思うが、
上に報告するのをすっかり忘れていた。山本総隊長に話にいかなければ…。
足を一番隊にむけながら、そこまで考えたあと俺はふと足をとめた。
もし報告したとしたらはどうなるのだろう。ここの監視下におかれるのだろうか?
そしてなんども記憶を入れ替えられるのだろうか。
記憶の大部分が偽り。ソレはあまりに悲しすぎる。
…しかし。
言わないと危なくなるのはなのだ。死ぬよりかはきっと偽りの記憶のほうがいい。
考えながら歩いていると思ったよりも足は進んでいたらしく
俺は一番隊宿舎の扉を開き、山本総隊長と対峙した。
「どうした?」
「報告だ。人間界で大変霊力の高い人物をみつけた。
名は。住まいは日本空座町だ。」
「うむ。そうか。では捜査のものを向かわせようかの。」
山本総隊長が手元の紙に筆でさらさらとかきとめた。
「日番谷。もう下がってよいぞ」
「わかった。」
一礼をして一番隊宿舎をあとにした。
外にでるとソメイヨシノはもう散ってしまっていたが、ボタンザクラが華やかに咲き誇っていた。
◇◇◇
次の日俺は山本総隊長に呼ばれ、再び一番隊宿舎に来ていた。
そして、告げられた言葉に俺は言葉を失った。
「いない…?」
「あぁ。つい数日前まではいたようだが…」
「それは出かけていると言うことではないのか?」
「…」
山本総隊長はただ無言で返す。
消息不明。そういうことなのか?
の安否がただ気になった。
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2006/05/02
アトガキ
ひっつん視点で。消息不明の理由は次のお話で明らかに。
山本さん難しっ・・!
なにこの人!ひげにリボン巻いてるからって油断してた(?)
そしてひっつんってちゃんと敬語とか使う子なのか?
この話の主人公さんは性格男前ということにしといてあげてください。
一応それが目標です。
ただ、目標は目標でしかなかったりするんですけど(涙)