「あんま無理すんなよ」
「あぁ。わりぃな。迷惑かけて。」
一晩寝ると対して苦もなく言葉は発せられるようになっており、
体にだるさは相変わらずあるものの体は動かせるレベルに回復していた。
「いんや。じゃあ行ってくるわ。」
恋次がひらひらと手をふって、俺に踵を返し、何やら白い建物のほうに歩いていく。
空を見上げると青い空が広がっていて、風が恋次から借りた着流しを揺らした。
ごく普通にありそうな光景で自分がもう死んでいることを忘れてしまう。
何も考えずにただ空を見ていると、ふい父母の笑顔が浮かんできた。
「母さんと父さん。どう思っただろなぁ」
突然俺が死んでどう思っただろうか。。
つーか。俺はどうやって死んだことになってんだろ。
刀傷なんてどうやって理由つけるんだ。
「やっぱ悲しんでるかなー…」
いや、悲しんでくれてるんだろう。
うちの親子は仲がいいほうだから。
きっと…。
そこまで考えて、ふいに目の前がぼやけてきた。
「あれ…なんだ?」
頬に冷たいものが伝った。
雨かと空を見上げたが空は依然気持ち良いほど青く晴れわたっていた。
雲ひとつなく、雨なんて降るはずはない。
「…あー。やっと見つけたわぁ。クン」
突然ぞくりという寒気とともに聞こえた声に俺は袖で涙を拭い、そちらに視線をやった。
「あれぇ泣いてたん?」
「誰のせいだとおもってんだよ!」
噛みつくように言えば、市丸はにやりと口の端をあげてみせた。
「あー。ボクのせいなん?」
「それ以外になにがあるんだ?」
「・・・それえぇわ。クンが泣いてんのがボクのせいとかめっちゃええわ」
市丸は至極楽しそうな笑みを浮かべる。
それに眉をよせ睨みつけてやると市丸は俺の手をとり、引きよせた。
「なんだよ」
「クン、ボクんとこおいで」
「はぁ!?」
何いってやがる。というように思いっきり顔をしかめると市丸は笑みをさらに深めてみせる。
「嫌なん?」
「…俺は恋次のとこのほうが良い」
ボソリと呟くようにそういってやると市丸はすっと目を開く。それに俺は一種の寒気さえ感じた。
「なんなん?クン、阿波井クンのこと好きなん?」
「そんなんじゃねぇよ。ただ市丸より恋次のとこのほうがよさそうな気がする」
「…クン」
視線を背けながら呟くとなにか、うすら寒ささえ感じる落ち着いた声で市丸が俺に呼び掛ける。
「キミ、断れる立場やと思ってんの?」
いつのまにか市丸は脇差しを抜いて俺の首元にその切っ先をつきつけていた。
頬に冷や汗が伝う。
「…市丸」
「なぁ。お願いや。ボクはクン傷つけたくない。
首輪つけて逃げられへんようにしたいとも思わへん。
だから、自分でボクんとこ来てくれへん?」
お願いという形をとっているが、この状況下ではそれは形の上でしかない。
脅迫。その表現が一番あう。
ちらりと市丸に視線を向けてみるとにっこりと微笑んだ顔と出会った。
「わーったよ」
市丸の顔が本当に嬉しそうな表情に変わる。
「そういってもらわな、ボクがクン死なせた意味ないわ」
市丸は脇差しを収めながらそういう。俺はそれを目でおいつつため息をついた。
「あぁ…そうだな」
とりあえず流される。そういう態度にでようと思った。
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2006/05/18
アトガキ
狐さんと再会。
恋次さん帰ってびっくり。
主人公さんいきなりいなくなってる(笑)
やっぱり彼はやられキャラ(ぇ)
MEMOの次数制限が4000のせいか
基本が3KBぐらいだから一話一話が短いなぁ。と思ってみたりします。