「キラ=ヤマトは船橋へ。キラ=ヤマトは船橋へ・・・。」
艦の中にアラームと共に、キラの名を呼ぶアナウンスが響く。
「・・・キラ。」
多分これからラミアス艦長達がキラにMSに乗ってくれるか交渉に入るんだろう。
彼はどうするのだろう。俺がコクーンにのって戦場へ出ることはフラガ大尉やラミアス艦長といった軍人達しか知らない。
もし彼が今回は乗らないと決めても、俺が彼の代わりに戦場を駆けていると知ると、確実に彼は戦場へと赴くだろう。
それは今までの付き合いで嫌というほど分かっている。
しかしもしコクーンに乗っているのが俺であるということが彼・・・キラにばれなければ、彼は戦わずに済むだろうか。
「・・・ありえない・・・かな。」
彼にはこの艦を守らなければ。友達を守らなければいけないとその重圧が重く圧し掛かっている。
もしパイロットが俺だと分からなくても、地球軍の知らない軍人だと思っても
彼は戦う道を選ぶだろう。守るために。
そして、キラがコクーンのパイロットが俺だと気付かないはずがない。聡い子だ。
先程の食堂での大尉と俺との会話から俺がMSに乗れる事などすぐに気付き、
今、彼以外にMSにのれるのは俺しかいないという結論に簡単にたどりつくだろう。
パイロットスーツの前をしめると、扉が軽快な音を立てて開いた。
「・・・さん!?」
ほら。俺の思いも虚しく、こんなに早くもばれてしまった。
そして、やはり彼はここに来てしまった。戦場へ赴くという道に。
「どうしたんですか!?その格好・・・!」
「俺も出ることになったんだよ。キラと一緒に。」
「!?
え。だってMSはストライクしか・・・!」
必死の形相でキラは俺に詰め寄ってくる。
俺は少し困って変な笑みを浮かべた。
「”コクーン”っていう、機体がストライクのほかにもう1機この船にはあるんだよ。
それに。ほら。キラ。ここに来たって事は君も乗る事に決めたんでしょ?着替えなきゃ。」
そこまで言って、一度言葉を切る。キラは不思議そうに俺を見上げた。
「でも・・・乗りたくないなら乗らなくて良い。俺が頑張るから。俺もキラには乗って欲しくない。」
「・・・駄目です。そんなの。」
俺の言葉にキラは首を横に振り、服を脱ぎだす。
「さんだけにつらい思いさして、僕だけ何もしないわけにはいきません!」
アンダーシャツをきて、キラは一番小さいパイロットスーツを手に取る。
あまりにも予想通り過ぎるその言葉に俺は苦笑を返すしかなかった。
「それに・・・トールたちもブリッジで戦ってるんです。・・・僕も戦わなきゃ。」
「トール・・・たちも?」
トールたちも戦闘を・・?握った拳に思わず力が入る。
この戦争はどこまで罪ない人たちを巻き込めば気が済むのか。
キラがパチンとパイロットスーツの前を閉じる、それと同時にロッカールームの扉が開き大尉が入ってきた。
「やっとやる気になったてことか?そのカッコは。」
キラがどこかばつの悪そうな表情をして見せた。
「大尉が言ったんでしょ?今、この艦を守れるのは僕達だけだって。
・・・戦いたいわけじゃないけど、この艦は守りたい。みんな乗ってるんですから。」
「俺達だってそうさ。」
フラガ大尉の言葉に俺も頷く。
「守りたいものがあるからみんな戦ってるんだよ。」
「あぁ。意味もなく戦いたがるやつなんざ、そうそういない。戦わなきゃ守れないから戦うんだ。」
俺達二人の言葉にキラは感心したような顔をして、さらに驚いたようななんだか不思議な表情をしてから
パイロットスーツの襟を引っ張り、すこし照れくさそうに目を逸らした。
「ちょっと大きいです、これ。」
くすくすと俺は笑みをこぼし、大尉は優しく目を細めて見せた。
「お前の方が規格外なんだよ。やせっぽち。」
「あ、でも。キラ意外と着やせするタイプなんだね。」
「・・・さん!?」
「あ。」
思わず漏らした言葉にキラが赤くなって俺の名を呼ぶ。
さっき着替えている時にふと思ったことが自然と口から出てきてしまったのだ。
罰が悪く目を逸らすと、大尉は楽しそうに笑って見せた。
「ほらほら、時間はないんだ。作戦、説明するぞ。」
「あ、はい!」
「はーい。」
◆◆◆
ブリーフィングを手早く、終え、格納庫に向かった俺達はあわただしくそれぞれのコックピットに乗り込む。
大尉のゼロのハッチが閉じられ、キラがストライクのハッチを閉めたのを見て、
俺もハッチを閉め、OSを起動させ、シートベルトを締めた。
<ローラシア級、後方、九十に接近!>
ブリッジの管制の声がした。九十。・・・そろそろ出なければ先程の作戦は間に合わない。
そう思った矢先に大尉と艦長の声が流れてきた。
<艦長。そろそろタイムアウトだ。出るぞ!>
<はい。おねがいします。>
<−この作戦はタイミングが命だからな。あとはよろしく頼む。>
<わかりました。・・・お気をつけて>
ブリッジとの通信が終わると、フラガ大尉はこっちにも声をかけた。
<じゃぁな、坊主、。とにかく艦と自分を守ることだけ考えろ。>
「了解。」
<は、はい!−大尉もお気をつけて。>
いっぱい、いっぱいになっているキラの声を聞いて大尉はにやりと笑った。
<、坊主をたのんだぞ!>
「うん。わかってる。」
それだけ言うと、大尉は通信を切った。その通信が途絶えるとブリッジから通信が入る。
<――キラ。さん。>
「・・・・ミリィ。」
「ミリアリア!?」
モニターに映ったのはインカムをつけた工業カレッジの学生の一人。ミリアリアだった。
本当にみんなでブリッジにいるのだといまさらながらに苦笑をもらす。
<以後、私がMAおよびMSの戦闘管制となります。・・・よろしくネ>
最後に照れ隠しのような笑顔とウィンクに思わず顔がほころぶ。
キラも同じように緊張がほぐれていれば良いが・・・。
「『よろしくお願いします。』だよ!!」
トノムラ伍長に叱り飛ばされるミリィをみてモニターの中のキラがわずかに笑った。
大丈夫だ。少しではあるが、緊張はほぐれている。
<ストライクの装備は”エールストライカー”を。
アークエンジェルがふかしたらあっという間に敵が来るぞ、いいな!?>
<はい!>
エールストライカーと聞いて、ストライクは三種類の武装パックを換装できたことを思い出す。
マニュアルによると確かツバサのようなユニットで機動性が飛躍的に高まる。ということだったはずだ。
ストライクにエールストライカーが装備され、歩いてカタパルトに接続されるのを見て、
俺もコクーンを歩かせ、逆サイドのカタパルトへと接続させた。前のモニターに艦長の顔が映る。
<さん・・・本当に大丈夫かしら・・・。お任せして。>
「えぇ。ご安心を。」
艦長たちにはコーディネーターだからMSを扱えるとしか言っていない。
本当のことを知ってるのは、今のところフラガ大尉だけだ。
ブリッジとの通信が終わり、キラとの通信を開く。
「キラ。無理しちゃ駄目だよ。」
<はい。>
コクリと頷く、キラをみて微笑む。その途端に艦長の声が響きエンジンが低い唸りを上げた。
<主砲、打て!>
その後、すぐにチャンドラ伍長の声が入る。
<−前方ナスカ級よりMS発進を確認!――”イージス”です!」
イージス・・・。アスイラン?キラがイージスにはアスランが。といってた気がする。
モニターにミリアリアの緊張したような顔が映った。
<キラ!"ストライク"発進です!>
<・・・了解。>
ミリアリアとキラの通信後、しばらく間が空く。
少し心配になったが、ここは彼が一人で乗り切らなければならないところだ。
<キラ=ヤマト!”ガンダム”・・・行きます!>
強い言葉が通信から入ってきて安堵の息を吐いた。
ハッチがゆっくりと開放される。
<続いて、コクーン発進、どうぞ!>
「=。”コクーン”発進する!」
急激にかかるGを久しぶりに体に感じた次の瞬間にはコクーンはすでに宇宙の中に放り出されていた。
フェイズシフトを起動させると灰色の機体が純白へと色を変えた。
「さて・・・どこまでやれるかな。」
高速で接近するMSを目で捉え、俺は一人つぶやいた。
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2006/01/12
あとがき
今のところ題名は名詞で終われてます。
そのうちきっと名詞で収まらなくなるんだろうねぇ。名詞で終わるのすきなのに。
キラにばれちゃった☆という感じでお願いします(?)
こう、包み込むような大人の男のかっこよさ?そういうのを出したいんですけど難しいですねぇ。
もうすぐZAFT組と出会いますー。私が楽しみなだけです・・・。