アラームが鳴り響き、何事かと急いで格納庫にいくと、
そこには整備士5人に取り押さえられて尚、抜け出そうとするの姿があった。
「おい、!!」
「あ、大尉!何とかしてくださいよー。
のヤツ、コクーンに乗るっていって聞かないんですわ。」
マードック軍曹が困ったように頭をかいて、の方を見遣る。
その時バジルール少尉から何事かという通信が入り、簡単な報告を済ましてから
あたりを見回してみると、腰をさすっている整備士達が2,3人見受けられた。
おそらくに返り討ちにあった連中だろう。は細いけど、元ZAFTであるため白兵戦にも強い。
取り押さえられても尚、瞳には強い光がともっていた。
「離してくださいっ・・・!ラクス引き渡してそのままで終わるはずがないんだ!!」
「!!」
「なんですかっ!」
牙をむくに一発平手うちをすると、
は驚いたような顔をして俺を見た。
そして何度か瞬きしてから我にかえったようにオッドアイの瞳を泣きそうにゆがめた。
「落ち着け。・・・お前これ以上罪を重くすんな。」
「・・・ごめん、大尉。でもっ・・・大尉、お願い!ゼロで出る準備して!
ラウが・・・このまま何もしてこないはずがないんだ・・・だからっ。」
視線を逸らして、悲痛の面持ちで俺に言葉をかける。
クルーゼの事をファーストネームで呼んだことにも驚いたが
とりあえず、今はそれどころではない。
俺もクルーゼがこのまま引き下がるなんて思ってはいない。
「あぁ・・・わかった。
おい、お前ら。もう、大丈夫だ。も正気に戻ってる。」
を取り押さえていた整備士達に声をかけると、
安心したような笑みを浮かべてから彼らはに一言謝って手を離した。
「・・・。」
「うん・・・。独房に入ってるから、心配しないで。」
「・・・そんなこといってるんじゃっ・・・!」
「これ軍法違反でしょう?しかるべき判断が出るまで俺はそこにいるから。
・・・俺、一応軍人だし。」
「・・・。」
「気にしなくて良いから大尉はゼロの準備して。」
穏やかに微笑みながらそういうと
は腰をさすっていた整備士達に一言謝り、格納庫から離れていく。
肩を掴もうとしていたてを握り締めて俺はロッカールームに駆け出した。
急いでパイロットスーツにきがえ、ゼロの調整をしていく。
暫く待っていると、イージスからストライクが離れたとたんに
ナスカ級から一機のMSが発進された事を告げられた。
「こうなると思ってたぜ!!」
額に汗が流れる。多分相手はあのクルーゼだ。
ゼロを発進させて、急いでストライクの方へ向かうと真っ白なMSシグーがこちらに向かってくるところだった。
やっぱりこのまま終わるはずがなかった。
あのお姫様が戻ればヴェサリウスにAAを撃てない理由はない。
『フラガ大尉!』
「何もしてこないと思ったのか!?」
通信から坊主の焦った声が聞こえる。無条件に敵を信じ込んでいたらしい。
それを考えた上では何も言わずにサポートに回るつもりだったのだろう。
あの時は普通の軍服をきたままで、パイロットスーツなど身に着けていなかった。
「っち・・・。言われて気付くのとその場で気付くのと
どっちがダメージでかいと思ってんだよ、!」
綺麗な心を持った坊主には多分言いにくかったんだと思う。
そして、坊主以外にもその場には多分カレッジの生徒達がいたのだろう。
向かってくるシグーに照準を合わせようとした瞬間
シグーの動きが鈍くなり、少し間が空いて引き返していった。
「・・・は?」
いったいなにがあったというのだろう。
・・・あのお姫様が何かしたのだろうか?
「・・・なんだか知らんが、こっちも戻るぞ。
追撃してやぶへびはつまらん。」
『・・・はい。』
去っていく2機のMSを見送りながらそういうと
少し間があってから坊主の沈んだような声が入った。
「とんでもないお姫様だったなぁ・・・。」
AAに戻りながら感想のように言ったが、返す言葉はない。
不思議におもってストライクに映像回線もつないでみる。
「あ・・・?どうした?」
『いえ・・・なんでもありません。』
坊主は俺の言葉に顔を伏せてそう呟いた。
◇◇◇
格納庫に戻って、俺はまず軍服に着替えてからがいる独房に向かった。
ひっそりとした少ししか明かりのともっていないその空間には静かにたたずんでいた。
「・・・鍵までかけたのかよ。」
「うん。頼んでやってもらった。」
呆れたようにそう呟くと、は微笑みながら俺を見上げた。
俺は額を押さえて溜息をついた。
「ほれ、軍法会議行くぞ。」
「うん。わかった。」
鍵を開けてを外に出し、先に歩き出すとは不思議そうに首を傾げた。
「・・・手錠しなくて良いの?」
「ばーか。俺はそういうプレイは好みじゃない。」
冗談交じりに笑いながらそういうとは小さく噴出した。
そのまま歩き出して、さきほどラミアス大尉から通信で知らされた部屋に向かう。
無言なので綺麗なの横顔を盗み見てみた。
あー・・それにしてもこいつなんの悔いもないって穏やかな顔してんなぁ・・・。
自分の信念に基づいて行動したんだろうと思う。
「なに?」
「・・・や、べつに。」
俺の視線に気付き、は不思議そうに俺を見上げた。
適当にはぐらかして部屋の中に促すと軍服と帽子まで着けた
ラミアス大尉とバジルール少尉が待っていた。
「中尉はそこに立ってください。」
ラミアス大尉の言葉に従いを部屋の真ん中に立たせて俺は軍法書を持って弁護側にたった。
しばらく罪名を挙げていき、バジルール少尉がそれについて一言二言いうのに対し
俺は軍法書を捲ってそれを弁護していった。ラミアス大尉はそれを見守りに視線を向けた。
そして、少し哀しそうな表情をしてからキツイ表情を作った。
「・・・=中尉には何か申し開きたい事実はありますか。」
「俺が今すべき事をしただけだと思っています。
罰は甘んじて受けます。」
「っ!!」
「弁護人。」
「っち・・・。」
思わず叫んだ俺にラミアス大尉が柔らかく静止の声をかける。
「=の行動は軍法第3条B項に違反。第10条E項に抵触するものとみなします。
ただ・・・あなたは中尉ですのである程度、指示がなくとも自由に判断する事が認められています。
よって=には24時間独房に監禁とし、これにて当法廷を閉廷します。」
「・・・一日・・・だけでいいんですか?」
ラミアス大尉の判決には驚いたように目を丸くした。
「えぇ。さんは本来は民間人であり、私達に裁く権利はないの。
アルテミスの士官が勝手にあなたを軍人にしたわけだけど、生憎私達には確かめる術はない。
ですけど中尉として扱っていますので一応軍人として罰は受けていただきます。」
「・・・。」
「おい、。しけた顔すんな。」
止まったままのの尻を叩くとは一瞬眉を顰めて俺を見た。
そして、ラミアス大尉とバジルール少尉に視線を向け深々と礼をする。
「ありがとうございました。
では、自分は独房に参ります。」
閉じていたオッドアイの瞳を開くと背筋を伸ばし、は敬礼をした。
「あ、フラガ大尉も。」
「んあ?」
「ありがとう。」
「どーも。」
にっこりと微笑んでは部屋を出ようとする、
しかし扉を開けたとたんノイマン達が中に転がり込んできて一瞬目を丸くした。
どうやら、耳をつけて中の話を聞いていたらしい。の事が心配だったんだと思う。
バジルール少尉が手を震わしながら立ち上がった。
「お前達っ!さっさと仕事に戻れ!!」
「あ、ちょっと待って下さい、ノイマン曹長。」
バジルール少尉に恐れをなし急いでその場をさっていくノイマンに
が困ったように言葉をかけた。
トノムラやチャンドラも不思議そうに足を止めて此方を向いた。
「すみませんけど、俺を独房に連れて行ってもらえませんか?」
「中尉・・・?」
「おねがいします。」
「・・・わかりました。」
視線をそらしノイマンは自分の中で少しの間、葛藤した後に
にしっかりと視線を合わせて敬礼をし引き連れていった。
は・・・本当に責任感の強いやつだ・・・。鍵なんてかけなくても逃げ出しなんかしないだろう。
多分、ラミアス大尉の説明がなかったら独房にいる時間をもっと長く。と説得したかもしれない。
「次、坊主呼んでくるわ。」
「お願いします。」
席を立ち、軍法書を片手に部屋を出る。
キラの部屋に向かっていると丁度キラとあった。
「あ、大尉っ!さん終わったんですか?」
「あぁ。さ、次は坊主の番だ。」
ポンポンとキラの肩を叩くと、キラは不安そうに俺を見上げた。
「心配すんなって。俺が弁護してやっから。」
「はい・・・。あの・・・それよりさんは・・・。
「それは法廷の後でな・・・?」
絶えず不安の色を浮かべるアメジストの大きな瞳に微笑み俺は坊主の背を部屋の中へと導いた。
多分、坊主は心配ない。戦闘をしているといっても民間人だ。
本来よりも重い刑がかかるが、坊主の立場はとは・・・違う。
おそらく独房にいる今も穏やかな感情でいるであろうを思い浮かべて俺は溜息をついた。
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2006/02/26
あとがき
この場合軍法会議であってるんでしょうか?
中尉なんて面倒な身分つけたばっかりにすごいこの人処置に困りました。
ということで無理やり中尉という階級を濫用してみたり。(ぉぃ)
で、自主監禁です。ムウさんいろいろなところに気をもんで大変だろうなぁ(笑)