コクーンの修理も何とか終わって、細かな調整を行っていると

キラとフラガ大尉とじゃれあうような声が聞こえてきた。

現在、キラはフラガ大尉に言われてストライクではなくゼロの調整中。

まぁ、キラが文句言うのも分かる。



「それより、ストライクは!?本当にあのままでいいんですか?」



キラがフラガ大尉に噛みつくようにいうと、フラガ大尉は面食らったようにキラの顔をみた。

あ・・・。そういえばコクーンもこのままでいいんだろうか。

このままだとナチュラル・・・というか俺以外はすごく扱いにくし、ナチュラルの場合だと動かすこともままならないと思う。

コクーンの調整が終わったのでコックピットの中からでて、キラ達の方へ向かった。



「うーん・・・わかっちゃいるんだけどねぇ。
 お、!終わったのか?コクーンの調子はどうだ?」


「うん。問題なく動くと思うよ。
 でも大尉。俺も思うんだけどコクーンのOSあのままで本当にいいの?」


「わざわざ元に戻してスペック下げるっつーのも、なんかこう・・・。」



最後らへんは言いにくそうに大尉は言葉を濁した。

確かにスペックを下げるということは戦闘能力が下がるということなのだけれども、

あのOSのままではスペックがどうこうより動かせない。

それに見合うパイロットが当然必要になってくるというわけで。



「できれば・・・。」


「?」



格納庫には珍しい高めの女性の声が聞こえて、俺達は一様に声のした方を向いた。

そこには栗色の髪と瞳を持つ女性、ラミアス艦長の姿があって、俺は目を丸くした。



「あのまま、誰かが。って思っちゃいますわよね。」


「艦長!」


「あらら、こんなところへ。」



フラガ大尉の言葉に俺も思わず苦笑して、ラミアス艦長の手をとってゼロの上に着地させた。



さん、ありがとう。」


「いえ。どうしたんですか?本当にこんなところに。」



格納庫の中を見回しながらの俺の言葉にラミアス艦長は微笑んだ。

艦長って、本当にこんなところには用事はないはず。



「・・・ごめんなさいね。ちょっとさんとキラ君と話したくて。」


「え・・・?」


「俺達・・・ですか?」



第8艦隊と合流した後だから、ちょっといやな予感がして俺はキラと同様に少し眉をしかめた。

もしかして残れとか言う・・・?

俺達の表情を見てラミアス艦長は苦笑を漏らした。



「そんな疑うような顔しないで。
 ま・・・無理もないと思うけど?」


「はぁ。」


「・・・話っていうのは?」



おどけてみせるラミアス艦長に俺は少し首を傾げて見せた。



「えぇ。ちょっと・・・。ストライクのほうに行きましょうか。」



ラミアス艦長はストライクの方を視線で示してから、

フラガ大尉とマードック曹長に了解を取るように少し首を傾げて微笑んでみせた。

それにフラガ大尉は肩をすくめておどけてみせる。



「はいはい。盗み聞きなんて趣味の悪いことはしないんで、ご遠慮なく。
 おら、いってこい、坊主、!」


「うわっ!?」



フラガ大尉は一番手近にいた俺の肩を突き飛ばすように押した。

格納庫は低重力のため俺はストライクの方向に意思とは無関係に飛んでいっている状態。



「・・・大尉・・・。」


「いってらっしゃーい。」



にへら〜。と笑って大尉は手を振る。

それにあきれたように笑いながらラミアス艦長がついてきたのでキラもソレに続いた。

俺も身をひねってストライクが見えるような体勢をとってから格納庫の中を進んだ。

ストライクの前でとまり、そこに足をつける。

三人一様にストライクを見上げると、ラミアス艦長がポツリと呟くように声を出した。



「私自身余裕がなくて・・・。あなた達とゆっくり話す機会もなかったから。
 その・・・一度ちゃんとお礼を言いたかったの。」



その言葉に俺とキラはストライクに向けていた視線をラミアス艦長に向けた。

見てみると艦長もこちらをむいている。

お礼・・・?戦うのがあたりまえのように感じいてお礼を言われるなんて思ってもいなかった。

俺は守りたいから、守っていた。ただそれだけだった。



「あなた達には本当に大変な思いをさせて・・・。
 本当・・・ここまでありがとう。」



ラミアス艦長は両手を足の横に添えて深々とお辞儀をする。

キラは驚きに目を見開いて、何か言おうと口をパクパクさせていた。



「艦長・・・俺はそこまでお礼を言われる権利は・・・。」



俺も多大な迷惑をかけていた。

ラクスのときの一件もそうだ。艦を危険に直面させた。

自分の感情からキラをとめなかったし、協力さえした。



「いいえ。さん・・・。キラ君にも
 色々と無理言って・・・がんばってもらって・・・感謝してるわ。」


「・・・。」



まだ頭を上げないラミアス艦長に俺は胸が締め付けられるような心地を味わった。

お礼を言ってもらえるなんて思ってもいなかったから、嬉しいんだ。

でも・・・この人は軍人に向いていない。優しすぎる。

俺はなんだか痛い気持ちになってラミアス艦長を見た。



「いえっ・・・そんなっ艦長。」



キラはどこか居心地が悪そうに



「口には出さないかもしれないけど、みんなあなた達には感謝してるのよ?」



キラは驚いたように小さく息をのんだ。

戦場には慣れていないけど、キラも戦うのが当たり前だというように感じていたんだろうと思う。

だから、その事実に驚いたんだろう。



「・・・キラ。俺もキラには感謝してる。一緒に戦ってくれてありがとう。」


さん・・・。」



本当は戦うべきじゃない子なのに、MSが2機あるために戦うしか選択肢がなかった。

仕方がないとはいえ、キラに甘えて戦うのをやめろといえなかった。

だから一緒に戦ってくれたこの子にはとても感謝している。

俺達の様子をみてラミアス艦長が笑みを深めた。



「こんな状況だから地球に下りても大変かと思うけど・・・がんばって。」



右手を差し出されてキラは驚いたように一瞬身を引いた。

軍人にこんなことされるのはめったにない。

俺は苦笑を漏らしてキラの手をとって、ラミアス艦長の手に握らせた。

キラは目を見開いて俺をみて、そしてラミアス艦長を見た。

ラミアス艦長はキラと硬く握手をしてから、俺にも手を差し出す。

俺はやわらかく微笑んで艦長の手を握った。

キラは不思議そうにまじまじと自分の手を見ていた。



「本当にご迷惑を。」


「そんなことないわ。あなたには助けられてばっかりよ。」



俺は眉を下げて曖昧な笑みを浮かべ、艦長の耳元に唇を寄せた。



「・・・ちなみに俺、降りれるんですか?」



耳元から離れて顔を見ながらそういうと、ラミアス大尉はきつく唇をしめた。



「大丈夫です。・・・私がなんとかしてみせます。」


「・・・最後までご迷惑を。」


「いいえ、私の役割ですから。」



厳しい表情を緩めてラミアス艦長は穏やかに微笑んだ。



「・・・では、仕事があるからこれで失礼するわ。邪魔してごめんなさいね。」



ラミアス艦長は軽く敬礼をして、格納庫を離れていった。

俺はその姿を見えなくなるまで見送ってから、キラがこちらを真剣な表情で見ているのに気がついた。



「キラ・・・どうしたの?」


「艦長になにいったんですか?」



俺に一歩詰めより、キラは噛みつくように言う。

思った以上に真剣なキラに俺は驚いてから、目元を緩めてキラの頭を優しくなぜた。

それにキラは目を見開き、空気をやわらかいものにする。



「・・・俺、一応中尉でしょ?だから降りれるのかな・・・って思って。
 でも、ラミアス艦長が降ろしてくれるって。」


「・・・それだけですか?」


「うん。それだけ。」



特に嘘は言ってないので俺は笑みを深くした。

キラは少し不服そうに眉を下げて俺から視線を一度そらしたものの

再び俺に視線を向けた。



「・・・なんだかこのごろ変なんです。」


「・・・・・・何が?」


「よくわからないんですけど、自分が何考えてるのか
 自分自身分からないときがあるんです。」


「・・・そうなんだ・・・。うん。でもきっと解決するよ。
 自覚してるって事はきっとそのうち分かるようになる。」



俺の言葉にキラは柔らかい笑みを浮かべた。



「そうだといいんです・・・・あ、そうだ、さん
 不快な気持ちにさせてしまっていたならすみません。」


「うぅん。大丈夫。」



すこし慌てた様子で頭をさげるキラに俺は笑いながら返した。






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2006/03/02


あとがき

まさかのこの間だけで一話いくとは思いませんでした・・・。
なに色々と無駄なこと書いてるんだろう(笑)
キラ様、自覚気味。でもまだわかってないかな。という感じで。
主人公さんは鈍い方向でお願いします。(待)