「ラクス・・・」
「はい?」
「一つ・・・お聞きしたいことがあるんです。」
ラコーニが私を迎えに来たというので、アスランと格納庫に向かっていたところ、
隣で私に歩調を合わせて歩いてくれていた彼が少し言いにくそうに私に声をかけた。
「まぁ、なんですの?」
微笑みながら小首をかしげると、アスランは歩みを止めて何かを言いかけようとし再び口を閉じた。
どうやら言いにくいことらしい。私は微笑んで先を促してみる。
「遠慮せずにおっしゃってくださいな。キラ様のことですか?」
「いえ・・・違うんです。その・・・。」
彼は視線を私から離して、一度宙に泳がせた。
キラ様の事じゃないとしたらなんのことだろうか?
「その・・・さんはあちらにおられましたか?」
「まぁ!アスラン知っていらしたの?」
彼がなぜそのことを知っているのだろう。
戦闘中に彼と話した?しかし、MIAとなっている彼が生きているなんてそう容易に信じられることだろうか?
アスランの瞳を覗き込むと、彼は居心地が悪そうに目線をそらした。
「・・・はお元気でいらっしゃいましたよ。」
「!?・・・やっぱりあちらにさんはおられるんですか?」
「えぇ。」
私はにっこりと微笑んで肯定する。
ここで否定しても仕方がない。
どういった経緯かは知らないがの事情を知っているらしい。
「そうですか・・・さんやっぱりAAにいるんですね。」
どこか安心したようにアスランは微笑み、歩き出した。。
それに私は笑顔をかえして後に続く。
「それにしても・・・残念ですわね・・・。
折角お会いできたのに、もうお別れなんて。」
「プラントでは皆心配していますよ。」
格納庫にたどり着き、クルーゼ隊長の前にやってきて床に足をつける。
クルーゼ隊長は私に敬礼の形をとった。
「クルーゼ隊長にも色々とお世話をかけました。」
「お身柄はラコーニが責任をもってお送りするとこのことで。」
仮面に隠れて表情がよく分からない。
ただ口元だけは笑みの形だ。
一つ気になることを思い出して、クルーゼ隊長のほうに少し体を乗り出す。
「ヴェサリウスは追悼式典には戻られますの?」
「さぁ・・・それはわかりませんが。」
クルーゼ隊長は私から目線をそらして苦笑のようなものを浮かべる。
・・・戦闘中なら確かに戻ることはできないだろう。
しかし、少し怒りを覚えた。もしできたとしても彼はおそらく戻るつもりはないのだろうと思う。
「戦果も重要なことでしょうが、犠牲になるもののこともどうかお忘れなきように。」
「肝にめいじましょう。」
クルーゼ隊長は私をみて笑みを深めた。
とりあえず言いたいことは言い終わった。コレをどう受け止めるかは本人達しだいだ。
私は引き締めていた顔を緩めてアスランに微笑みかける。
「何と戦わねばならないのか。戦争は難しいですわね。」
アスランは私の言葉に眉を落として悲しそうな表情になった。
キラ様もアスランも戦いたくないのは同じなのだ。
だけど戦争中だから。戦わなければいけない。
そして、彼はとも戦う道を歩まなければいけない。
さまざまな思いが交差して戦争は一筋縄ではいかない。
「では、またお会いできることを楽しみにしておりますわ。」
微笑を残してシャトルに乗り込もうとしたとき見知った顔が入り口の壁に背を預けて微笑んでいるのに気がついた。
美術品のような顔立ちの深緑の瞳の中に私の姿がうつり、彼女は首を軽く傾げて見せた。
「まぁ、カイ!いらしてたの!?」
「うん。ラクス。無事で何より。」
「・・・きてたのか。一言、私に声を掛ければいいものの。」
クルーゼ隊長の言葉にカイはくすくすと笑みを深めて、私に手を伸ばした。
私はその手をとってシャトルの入り口に立つ。
「だって、ラウは僕にヴェサリウスに残れって言うだろ?
そんなのごめんだからねー。」
ひらひら〜。とカイはクルーゼ隊長に手を振ってアスランに視線を向けると微笑んでみせた。
アスランははっと気がついたように目を開き、背筋を伸ばしてカイに敬礼をした。
・・・知り合い?
「じゃぁ、ラウ、アスラン。ラクスは僕がしっかりお守りしますのでご心配なく。」
にっこりと微笑んで敬礼をしてから、カイは彼らに手を振り私の腰辺りに手を添えて中に促した。
瞳を見上げると、カイはにっこりと笑みを深めて首をかしげた。
「なに?」
「・・・あなたですか?アスランにの事をお教えしたのは。」
「うん。アスランなら問題ないでしょ?」
周りに聞こえない音量で問いかけると
カイはまったく悪びれる様子なく微笑んで答える。
・・・どうして、こうカイに笑顔を浮かべられると怒る気をそがれてしまうのだろうか。
「・・・いいですわ。アスランならの不利になることはしないでしょうし。」
「うん。」
誠実な人だ。
ただ、軍にも誠実で、忠実。それが只気にかかる。
命令でを撃つことになれば彼はどうするだろうか?
「ラクス。」
「はい?」
「怖い顔になってるよ。せっかくの可愛い顔が台無し。」
「・・・あら、それはいけませんわね。」
パチンと胸の前で手を合わせて微笑むとカイはクスクスと微笑んだ。
「そういえば、呼び捨てにすることにしたんだねー。」
「えぇ、私の事を呼び捨てでお呼びになって。と申しましたら彼も呼び捨てで、と。」
カイは楽しそうに笑い続ける。
「それにしてももびっくりしただろうねー。
まさかラクスが救命ポッドに乗ってくるなんて。」
「あら、私もびっくりしましたのよ?
まさかAAにがいるなんて思いませんでしたもの。」
「まぁねー。元気そうだった?」
「えぇ。」
月の光のような銀髪と優しいアイスブルーと少し濃いエメラルドグリーンの瞳をもつ端正な顔の青年を思い浮かべる。
複雑なんだろうけれども元気そうではあった。優しそうな綺麗な笑みが印象的だった。
「そうですわ。」
「?」
「あちらにはアスランのご友人のキラ様という方がいらしたんですけど
その方と随分仲がよさそうでしたわよ?とてもお優しい方でしたし。」
カイはその言葉を聴くときょとんとしていた瞳を笑みの形にした。
「そっかー。じゃぁキラっていう子がいれば、あいつも壊れないですむかな。」
「えぇ、きっと。」
強い笑顔を浮かべて頷く。
「あぁ・・・でも。」
「?」
「いや、なんでもないや。」
言葉を濁すカイに少し不服だというような表情をしてみせるが
あることを思い出して私はカイの瞳を見上げた。
「あぁ、そうそう。それに士官の服を着てらしたんですよ?」
少し眉を寄せてそういうと、カイは目を見開く。
「なにしてんの、アイツ。」
「・・・それはわかりませんわ。」
「・・・・・・また厄介ごとに巻き込まれたな・・・。」
私が小さく頭を振るとカイは顔を引き締めてあごに手を当て、考え込むような仕草をした。
しかし、突然カイは何か思いついたような表情をうかべ私のほうを向く。
「そうそう、ラクス。うちの親父がお偉いさんからラクスのコンサートのBGM頼まれたからよろしくって。」
「あら、それは豪華ですわね。」
彼女の父は有名なバイオリニスト。
それだけではなく以前若くして最高評議会の議員を務めていたこともあってか、プラントで彼を知らないものはいない。
・・・楽しいコンサートになりそうだ。
「楽しみにしてますわ。カイもこられますの?」
「うん。親父に見つからないようにラクス見に行くよ。」
「うふふ。じゃぁ、張り切らないといけませんわね?」
くすくすとお互い視線を合わせて微笑んだ。
この戦場から一度平和な世界に私は戻る。
しかし・・・これでいいのだろうか?
「カイ・・・。」
「ん?」
「私・・・そのうちとんでもないことをしでかすかもしれません。
そのときは・・・。」
「うん、いいよ。協力する。」
最後まで言い終わらないうちにカイはにっこりと微笑む。
「・・・ありがとうございます。」
そのときがくるまで、自分は平和を訴え続けよう。そう思った。
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2006/03/03
あとがき
ついに名詞で終わらない題名になりました。すみません限界です(ぇ)
そしてまた出ました、オリキャラ。また近々出てきたりします。
・・・設定やりすぎた感があふれ出てるのですが、
もう一個のサイトの設定をほぼそのまま持ってきてたものだったりします。(ぉぃ)
・・・温かい目で見守ってあげてください(汗)