暇だ。
白くて高い天井を見上げながら俺は小さく溜息をついた。
ごろりと寝返りを打ってみるが十分すぎるほど睡眠をとったこの体に眠気などやってくるはずもない。
ただ過保護な友人達からまだ寝ておけと忠告されているので大人しくそれにしたがっている。
後で体調を壊して困るのは自分であるけどそれ以上に心配する友人達を見るのは辛い。
もう一度ごろりと寝返りをうった後に廊下から固めの靴音が聞こえた。
カイでもフィーラでもない。だとすれば・・・?
「アンディ!」
音を立てて開いた扉の先には随分と久しぶりにみる友人の顔があった。
砂漠の陽でよく焼けた肌。野性的な顔立ち。
俺は上半身を起こして笑顔を浮かべた。
「やぁ、。久々じゃないか!」
にっこりと目を細くして大きく両手を広げ、彼は俺に歩み寄った。
俺も微笑を浮かべ彼を迎え入れる。
ベットから立ち上がりたいほど心が弾んでいる。
けれどもきっと俺が起き上がったら
彼が少し心配するような表情を見せるだろうからそれは止めておいた。
アンディは大きな手で俺の頭に手を置いて、優しく撫ぜた。
その心地よさに目を閉じそうになりながらアンディを見上げる。
「お疲れ、アンディ。」
「あぁ。意外と元気そうで安心した。」
「うん。フィーラが頑張ってくれてるから。」
はにかむように笑うとアンディは楽しそうに笑みを返した。
そして近くにあったテーブルセットから椅子を引きずって俺のベットの近くに腰掛ける。
俺はそんな彼の様子を見ながらどうやって話を切り出そうか迷っていた。
「そういえば、さっきアイシャにあった。
相変わらず綺麗な人だね。」
「はは、そうだろ?キミにそういってもらえるとアイシャも喜ぶ。」
全く臆すことなく自分の恋人を誉めるアンディはとても嬉しそうな顔をしていた。
これが愛し合ってる二人。俺はどうなのかな。こんな風になれるんだろうか。
「。」
「何?」
「なにか聞きたいことがあるんじゃないのか?」
そういわれて俺は目を丸くしてから、苦笑を浮かべた。
アンディが言ってるのはきっと愛し合えるか。とか考えていた事じゃない。
それよりもっと深いところで考えていた別の事。
そんなに表情に出ていただろうか。
下から伺うように目線だけあげてアンディをみてみるとアンディは笑みを漏らした。
「そりゃ、わかるさ。キミは無線でAAの事を心配していた。
聞きたくないっていうほうがおかしい。」
「そっかー・・・。」
俺は目線をアンディから膝の上で組み合わせている手に移して
それをなんどか握ったりしてから、再びアンディに視線を戻した。
「AAのストライク・・・どうなった?」
「うーん。そうだねぇ。どういえばいいものか。」
一度瞬きをするとアンディは顎に手を当てて斜め上を見るような動作をした。
答えまでのその妙な空きが俺にとってはとても嫌な事でさっきから心臓がバクバク言ってるのがわかる。
「どうなったと聞かれれば、どうもなっていないとしか言いようがないな。」
「え?」
「無傷のはずだ。」
口の端を上げて言われた言葉に俺は思わず胸をなでおろした。
キラが無事。今はただそれだけで良い。
生きていてくれる。ただそれだけで。
他のみんなはどうでもいいのか?と聞かれると
そうではない。と迷わず答えられるがキラへの心配とはレベルが違うもので
AAの他のみんなには悪いのだけれどもキラが生きていること
今、俺にとってはそれが最重要事項。
「彼はコーディネーターだな。」
「そう。よく分かったね。」
ふ、と思いついたようにアンディが漏らした言葉に俺は微笑みを浮かべて肯定する。
アンディが何か含みのある視線を俺に向けたので俺は軽く首を傾げた。
「あんな動きをナチュラルができるはずがない。」
「あんな動き…?」
アンディの言葉の中に引っ掛かる単語をみつけ、俺はオウム返しに聞き返す。
アンディはそんな俺に苦笑を浮かべてみせ、軽く肩をすくめた。
「MSの接地圧を砂に戦闘の最中で書き換えた。
ナチュラルには出来ない芸当だろう?いや…コーディネーターでさえ難しい。」
「接地圧をそんな短時間で…」
難しいなんてもんじゃない。
そんなこと出来るのなんてコーディネーターであっても100人に一人いるかいないかだろう。
それにしても俺がAAにいるときはキラはそんな事一度もなかった。
俺がいないことでキラを追い詰めていないか。
それが心配だ。
「。」
柔らかい声でアンディが俺の名前を呼ぶので眉を下げながら
彼の顔をみると彼は屈託もなく笑いかけ俺の頭に手を置いた。
「何を悩んでいるかは大体想像がつくが、お前が悩んでも仕方がない。
お前はその場にはいないんだ。今は…体を治すことだけ考えろ。」
な?と強い笑みを浮かべられ、俺は眉を下げたまま微笑んで頷いた。
それに満足したようにアンディはグシャグシャと俺の頭をかきなぜた。
暖かいそれに俺は少し抵抗しながらも嬉しさを覚える。
まるで家族のようだと。ここにいるとそれをよく感じる。
俺がもし…AAに戻りたいと言えば彼等はどうするだろうか。
「ねぇ、アンディ。」
「ん?」
「…やっぱりいいや」
なんだそれは。とでも言いたげにアンディは苦笑を浮かべた。
俺は緩やかに首を振りなんでもない。と示す。
今はまだこの暖かい場所に抜け出したくないらしい。
キラのところに戻りたい。だけど、今はまだ甘えていたいらしい。
本当はいけない事なのかもしれないけれど。
そっと視線を上げるとにこやかに微笑むアンディと視線が合う。
ここは俺が甘えていられる場所だ。
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2006/05/11
あとがき
主人公さん甘えた週間絶賛実施中(ぇ)
まだ子供でいたい反面、AAにいるときは俺がしっかりしなきゃ!
って思うからAAにいると実は苦しいんだと思います。
だからアンディたちの傍はとてもラク。
それじゃ駄目だって自覚してるけど(笑)
でもキラには会いたいんです。複雑な心境な主人公さん。
それであわせようとしない私は鬼ですか?
・・・でもZAFTの子達と絡ませたいんだ!(待)
主人公さんとキラの仲はゆっくりと深まっていくはず。
あ、でもキラは主人公さん死んでるっておもってるよ(汗)