「あれー?誰かいるー。」
ノックもそこそこに扉から顔を出したのはあまりにも美麗過ぎる自分の上司だった。
誰かと言われた赤服の二人は口を丸くあけてソイツを凝視していて
僕は思わず苦笑をもらしソイツに視線を向けた。
「呼んで来いっていったの君だろ?」
かなり失礼なことであると思うのに
そうだっけ?とでも言いたげにソイツは目を丸くするが、
僕はそれがわかっていてやっているということを知っている。
コイツはそういうやつ。
「カイ…困ってるから」
それにがあきれたようにカイに声をかける。
ちらりとに視線を向け微笑んでからカイは赤服の二人に敬礼をしてみせた。
それにあわてて二人が敬礼を返す。
「ヒプノウシス隊隊長、カイ=セル=ヒプノウシス」
「ク、クルーゼ隊所属イザーク=ジュールであります」
「お、同じくディアッカ=エルスマンであります」
「はい、よろしくー」
あたふたと身を正す二人を尻目にカイはまっすぐにに近付いた。
が不思議そうに目を丸くする。
「君、元気でたでしょ?」
そう言いながらカイはの頭を優しく撫ぜる。
暫くしてその言葉の意味を悟ったのかはおろか赤服二人の顔もほんのりと赤く染まった。
それを満足そうに見回してからカイは腰に手をあて、僕に視線を投げた。
「フィーちゃんもお疲れ様。ありがとね」
「いいえ。」
「あー!そっか。あんたが俺達呼んだんだっけ?」
「こらディアッカ。カイは隊長なんだよ。」
ぶしつけにもカイを指差しながらディアッカがそういったので
が優しく注意し、そこで彼は声を詰まらせた。
ZAFTって一応軍だから隊長であるカイには敬意をしめさなきゃいけないらしい。
「す、すみませんでした。」
「別にいいよ。僕、気にしないから。」
当の本人は本当に対して気にとめていないようで、ひらひらと手を振りながらしれっとそう言い、
それを受けたディアッカが少し安心したような色をみせた。
「あのっ…!カイ!」
眉をさげ突然焦ったように声をかけたにカイが少し目を丸くした。
僕もの行動に少し目を丸くして見せる。
普段穏やかな調子で話すが焦った声を出すなんて珍しい。
「何?」
「その…」
視線を下げては言いにくそうに口をひらいたり閉じたりしてみせる。
カイがあきれたように息をはいての頭を思いっきりつかんだ。
赤服二人を見てみるとあんぐりと口を開けている。
その表情が妙に面白い。
「さっさとサクサクいいなさい。」
「あ、ありがと…」
「どういたしまして」
尻すぼみになるの言葉にカイはにっこりと華やかな笑みを返す。
少し小さくなるがとてもかわいらしくみえた。
「あー。そう。いまここで言うのもなんなんだけど」
カイがちらりと僕に視線を向けた。
あぁ、なにか一波乱が起きそうな気がする。
うちの隊長は何を考えているのか分からない事が多い。
タダこれだけはいえる。よからぬことがおきそうだ。
「な…に?」
は恐る恐るといった感じにカイを見上げる。
赤服の二人はただ首を傾げるばかりだ。
「キラがさっき来て帰ったから。」
キラというのは確かが思いを寄せてる少年の名前だっただろうか?
そんなことを思っているとがばっと大きな音をさせてがベットから立ち上がり
カイの軍服の襟元を両手でつかんだ。
「なんで!?どうして教えてくれなかったの!?」
「彼は君を預けるに値しないから。」
「――っ!」
冷たく突き放すかのようなカイの言葉に
は声にならない声をあげ小さく息を吸い込みカイから離れ眉をさげた。
次の瞬間乾いた音が部屋の中にひびきわたる。
「カイなんて大嫌いだ!」
大きな声で叫んでからは部屋の外に走りさっていく。
の突然の行動に部屋の中の時間が一時止まった。
「…?」
まず最初に声をだしたのはイザークだった。
そして痛いと小さく呟くカイの声。
ふと視線を向けてみると頬は赤くなっているものの
カイはなにごともなかったかのように部屋ごとに内蔵されているの内線をとった。
「ん。カイです。今この部屋から病人でていったから連れ戻して。
え?あぁ…まだ全快じゃないから2、3人ぐらいで良いと思うよ。別に拘そ―」
「貴様ぁ!」
イザークがカイの襟元を掴み声をあらげる。
ディアッカの方を向いてみると彼は行動をおこさないものの不服そうな面持ちだった。
カイがイザークを色の無い目で見つめたので一瞬イザークに恐怖の色が浮かぶ。
それで襟元の手の力が緩んだのか、カイはいたって平常通りに内線での会話を続けた。
「あぁ、なんでもないよ。うん。拘束しても構わない。じゃあ、よろしく。
…何?」
「貴様!を…!」
「貴様じゃなくてカイ。あぁ、そうだ。イザーク。追い掛けて。」
「なにをっ…!」
「君がいったらも止まるでしょ。ほら隊長命令」
イザークの手を襟元から退かせながらカイは微笑む。
隊長命令という言葉には逆らえず、イザークが悔しそうに視線をそらし、
と同じように部屋の外へ出ていった。
「痛い…。」
カイがぽつりと呟く。
「じゃあ、いわなきゃいいでしょ?」
がキラという少年に思いを寄せているなら十分考えられた行動だ。
僕は苦笑を漏らしながらタオルを水で絞ってから差し出した。
カイが不服そうに僕を見てそれを頬にあてる。
「ほっぺが痛いんじゃないの。に大嫌いって言われたのが痛いの。」
「じゃあ、なおさら言わないほうがよかったんじゃねぇ?俺はカイの行動が理解できない」
その最もなディアッカの言葉にカイがだるそうに前髪をかきあげた。
「ディアッカさー。さっきの見てどう思った?」
「は?」
「思ったままでいいから」
カイに先をうながされるように云われディアッカは眉をひそめ、考えこむような仕草をしてみせた。
「…子供っぽい」
「でしょ?」
カイはさっきまでがいたベットに腰をかけ怠惰に足を組んでディアッカに視線をむけた。
ディアッカは不思議そうに首を傾げている。それはそうだろう。
先程の言動とそれが何の関係があるのだと思うのが当然。
「そこなんだよ。
はね、自分より弱い立場のものには弱さを見せないようにする。」
カイは息をはいて上を見上げた。
「自分が守らなきゃ。って思う。優しすぎるんだよ、あいつは。」
「…」
心当たりでもあるのかディアッカが後ろから殴られたようなそんな表情をみせ、カイは扉に目をやった。
「僕はMSでは多少劣るけどと同等の強さをもってる。
だからは僕や年上であるフィーちゃんやラウには甘えられる。
は本当は甘えたなのに甘えない。だから溜め込む。
でもそのぶん感情を発散させなきゃいけない。
僕はのためならその機会をなるべく作るようにしてる。
それがを怒らせることでもね。」
曇りの無い声できっぱりと言い切ったカイをみてディアッカはすこし考えこむような仕草をしてから、
突然顔をあげて口の端をあげて軽く肩をすくめてみせた。
「カイなりの愛情表現ってこと?」
「どうとってもらってもかまわないよ。
ただ僕はのためを思って行動してる。が壊れないようにそれを思って。
ちなみにフィーちゃんも僕と同じ考え。」
視線を向けられたので僕はこくりと頷いた。
は他人に優しすぎるために自分に対して優しくない。
だから彼が壊れないように出来る限りの力を持って彼を守ることはしようと思っている。
「あ、で。提案なんだけどね、ディアッカ。」
カイが人指し指を立てディアッカに声をかける。
ディアッカは少し眼を丸くしてみせた。
多分関係のことなんだけれども、僕もカイがなにを考えているのかわからない。
困惑する僕たちをよそにカイだけが楽しそうに微笑んだ。
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2006/05/23
あとがき
いいかげんこの人立退かせないと・・・!
次は出さない!絶対出さない!
暗示のように呟きながら次はうとう(ぇ)
本来こんな性格の主人公さん。
甘えたさんで、子供なんです。
いつかキラの前でもこんな行動するんだろうか・・・。
いや、それはそれで年上主人公としてどうよ、私。
と思ったりするんだけどどうなんでしょ。
次はイザが出張る予定!