医務室で発砲事件があったらしくソレの話し合いをラミアス艦長とバジルール中尉とブリッジでして
その後自室に戻る際、廊下で柔らかそうな銀髪をみつけ俺は声を発した。
こいつに関してはさっき発砲事件に関する証言の中でかなり気にかかる情報を仕入れてしまった。
「・・・!!!」
「あ、少佐・・・。」
アラスカに着いたのはいいもののAAから出ることが出来なくなって結構時間が過ぎた。
体力、精神力ともにみんな疲れ果てているらしく艦内に人の姿はあまり見当たらない。
そんな中廊下をふらふらと歩いているを見つけ思わず腕を掴んで呼び止めた。
「どうしたの?」
少しだけ濃いエメラルドグリーンとどこか温かみを感じさせるアイスブルーのオッドアイをきょとんとさせて
は首をかしげる。坊主が死んだって言うのにこんな表情をするってことはあの噂は本当らしい。
壁際に追い込んで、腕で逃げ道をふさいで俺はの瞳を真っ直ぐに覗き込む。
少し不安のような色がの瞳に浮かんだ。
「えっと・・・少佐?」
「お前・・・本当に忘れたのか?」
ぴくんとの体が反応する。
そして眉を下げて痛そうな表情で俺を見上げた。
それに俺は眉を限界までしかめて、奥歯を強くかんだ。
なんだかよくわからない感情が腹の下から湧き上がってきて、口の所で爆発しそうになる。
そしてソレをこらえる理性は自分にはない。次々と言いたいことが口元に上がってきた。
「坊主のこと・・・キラのこと本当に覚えてないのか!?
あれだけ大切そうにしてたキラのこと!!」
語調が知らずのうちにきつくなる。
俺と壁に挟まれたが泣きそうになりながら顔をゆがめて頭をなんども振った。
まるでその動作は自分を戒めているかのようなもの。
「だって覚えてないんだ!!どうしても思い出せない!!
大切な人だったってことはなんとなく分かる!!
心の中に何かがあいてるのはわかってる!!だけど思いだせないんだ!!」
瞳の端に涙をいっぱいに溜めて艦内中に響き渡るんじゃないかと思うほどの声では俺にむかって叫ぶ。
耐え難いダメージを回避するために心は記憶をなくすという方法をとってしまったらしい。
それほどまでににとってキラは大切な存在だったということ。
は自分の頭を抱えて、オッドアイの瞳を限界まで開いてがくがくと震える。
その姿を見るのが自分には痛すぎた。
「・・・。」
「!」
語調を柔らかくして、の頭を抱え込むように腕の中に抱きしめる。
ピクンと一度、の体がはねたがそれからは俺の腕の中でまるで泣いているかのように小さく震えるだけだった。
「悪い・・・悪かった。俺はお前を困らせたいんじゃないんだ。
ただ・・・悔しくてさ。」
アレだけ絆が深そうだった相手を綺麗に忘れてしまっていることが悔しい。
俺はを腕の中にきつく抱いたまま、
赤子でも撫ぜるかのようにの頭を壊れないようにと優しくなぜた。
「辛すぎるなら綺麗にその空いた穴も忘れちまえよ。
お前の分まで俺が覚えといてやる。」
何度も何度もの頭を撫ぜてやるとの震えが僅かに収まってきた。
完全に震えが収まったことを確認すると俺は腕の中からを解放する。
まだどこか不安げに揺れている瞳のままは俺を見て微笑を浮かべる。
その安心しきった甘い顔に心が高鳴って俺は思わず苦笑を浮かべた。
「俺の相手が少佐だったら・・・俺、こんな辛い感じにならなくて良かったのかな。」
小さく息を呑む。思わず手を伸ばしたくなるぐらい魅力的な誘いだった。
『それなら俺にしておけ』と口の先まで出かかる。
を自分の物にできたらなんていいんだろう。
だけど。だけどソレはなにかが違う。
「俺でその心の穴を埋めるとかお前の本望じゃないだろ、。」
俺にキラの代わりになんて無理だ。
きっとどこかで無理が生じてくる。
の心が何かが違うと言い出す。
俺だってきっとしっくりこないだろう。
「あぁ、でも。が俺のこと好きになったっていうならそのときは言って。
喜んでOKするから。」
キラときっぱり決別できるかどうか。それはの心が決めること。
辛すぎるなら綺麗さっぱり忘れて欲しい。
けれど実は覚えていたいんだと心が少しでも訴えているのならほかの何かで埋めて欲しくなんてない。
にっこりと微笑んでそういってやるとは少しだけ頬を染めて斜め下をみた。
「あー。でもはあれだよねー。
好きになっても気付かなさそうっていうか、なんていうか。」
「・・・あ。そうだね。ありえるかもしれない。」
小さく肩をすくめて言った言葉にはくすくすと微笑んで見せた。
もう一度の髪を優しく撫ぜてやるとは小さく首をかしげて俺を見上げた。
自分のものにしたい。って欲もあるけど。どっちかっていうと弟っぽいんだよな、コイツ。
そんなことを思っていると艦内放送が流れる。
白服を着ている将校全員がブリッジに集合するようにとのこと。
ようやく査問会議が行われるらしい。
「いってらっしゃい少佐。」
はひらひらと俺に手を振った。
俺は苦笑いを浮かべての肩に腕を回す。
「本当はも来るはずなんだけどな。」
「俺、一応捕虜だよ。こんだけ動き回ってるけど。
・・・ねぇ少佐。」
「ん?」
くすくすと笑いながら楽しそうにいった後には声のトーンを突然落として真剣な顔つきになった。
俺は小さく首をかしげてその先を促す。
「不利になったら俺のこと売っていいから。
俺はどんな状況になっても死なない。耐え切る覚悟がある。」
「売るわけないだろ。お前のことこれでも気に入ってるんだからな、俺は。」
だから心配すんな。と頭を撫でてやるとはぐしゃぐしゃになった頭に手を置いて俺を見上げる。
「無理しないで・・・ね?
あ、あと俺独房にはいってるから。なんかようがあったらそっちに来て。」
その言葉をきいて俺は一瞬動きを止める。
できればあんな暗く寂しい場所にを置いておきたくなんてないのだが、
いまこの状況ではそんなこと言ってられない。
下手すればAAだけでなくの立場も悪くなる。
「・・・わかった。」
渋々頷くとはコクリと頷いて微笑みながら俺の背を押した。
「少佐はお仕事でしょ?いってらっしゃい。」
「んー。いってきます。」
気のない返事で答えるとは眉を下げて困ったような笑みを浮かべた。
それを横目で見つつ俺はブリッジへと足を向ける。
アラスカ本部。このAAの入港をよく思っていないやつは多いだろう。
しかもMSは一機ももって帰ることが出来なかった。
どれだけ叩かれるだろう。ラミアス艦長はどこまで戦えるだろう。
「ま。お仕事頑張りますか。」
パンっと両手の平で頬をうち、気合を入れてブリッジに乗り込む。
そこには俺以外の白服がすでに全員集まっていて、入った途端に俺に視線が集まった。
バジルール中尉の僅かに避難する視線が突き刺さる。
おや。と一瞬目を見開いたが、一番奥にいた艦長と目があい
俺は顔を引き締めて艦長を見てから扉を見る。
「おまたせ。さぁ、いこうか、艦長。」
「はい。」
艦長がブリッジの扉を出て、そのあとにバジルール中尉が続く。
俺はさらにその後についてAAを出た。
その途端辺りから艦を整備する金槌の音や火花が散る音がする。
ここはもう本部の中。
自然と気が引き締まり背筋が伸びる。
誰かに頼んで独房に連れて行ってもらっているだろうの姿を思い浮かべる。
のことは絶対売らない。解放してもらえるようになんとかはからってみよう。
キラの記憶をなくしてしまうなんて、既に壊れかけてしまっているをなんとかこれ以上壊さないように守りたい。
だけどZAFTの英雄『銀のツバサ』という美味しすぎる取引の品に上層部が黙っているだろうか。
(・・・駄目だろ。弱気になってどうするよ、俺)
ふるふると頭を振って弱気な考えを取り払い俺は真っ直ぐに目線を上げた。
白い大きな扉が近づいてくる。そこが査問会議の場所。
俺たちAAの乗員の運命が決まる場所。
(よし)
心の中で自分を奮い立たせ俺は、その部屋の中に脚を踏み入れた。
2007/08/22
アトガキ
・・・半年ぶり?(笑・・・えない)
ZAFTの英雄とか美味しすぎる取引材料だと思いますの^^
だからそんなに簡単に逃しやしない、私が。 待
しっかりしている大人の男性が好みです。
引っ張っていってほしい!そしてムウさんにはそうあってほしかったりする。