カチカチと音をさせてひとつずつスイッチを上げ、フリーダムを起動させていく。
ただの鉄の塊だった物体に電気という血液が流れ込み、カレは静かに覚醒した。
サイクロプスから逃れるためにアラスカ基地の防衛という任を放棄したため、
地球軍の脱走艦となったアークエンジェルは中立国家であり、
僕の母国でもあるオーブに身を寄せることとなった。
そして地球軍はそのオーブに地球軍に加わるようにと要請。
オーブの獅子とよばれるカガリの父親、ウズミ・ナラ・アスハはその要請に首を縦には振らなかった。
地球軍が狙っているのはオーブのマスドライバーとモルゲンレーテ。
地球軍はその力をZAFTを崩壊させるために使うのだろう。
地球軍かZAFTか。
彼らはどうあがいても世界を二分したいらしい。
地球軍は自軍に加わることを承諾しなかったオーブを敵軍とみなした。
そしてすぐさまの開戦宣言。
少し言って聞かなければすぐに力に訴えかける。
あまりに子ども染みていて、理にかなっていない行動だ。無茶苦茶すぎる。
だが、ソレがどうした。結果を得るためには手段を選んでいないだけなのだ。と返されるだけなのだろうが。
それに加えあまりにも理不尽なこと。
それを考えると腹のそこがぴりぴりとして奥歯を強く噛んでしまう。
地球軍はあろうことかさんを連れ去ったらしい。
フラガ少佐・・・・じゃなくてムゥさんに聞いた話によると
アークエンジェルの将校の人たちが本部に呼び出されている間に身柄を確保されたのだとか。
船に戻ってきてすぐに本部に問い詰めたそうだけれども
本部で保護しているお前達には関係ない。との一点張り。
その時点でのさんの立場が捕虜と言うこともあって
さんをAAにとどめておく強い理由がないこともあり、取り返せなかったのだという。
ZAFTの元エースである捕虜は連れ去ったのにZAFTの赤を着ている現役の捕虜には見向きもしないという本部はいろいろと矛盾した行動をとっている。
そのたびに腹の奥から何かがあがってきて眉をしかめたくなる。
黒い感情が浮かび上がっきそうになったときに地球軍のMS部隊が動き出したとの報告がはいり、僕は目線をまっすぐと前に定めた。
「キラ=ヤマト フリーダム行きます!」
ブースターを一気にふかし、射出口から大空へと飛ぶように舞い上がる。
やはり地上のGは宇宙で感じるGとは比べようがないほど重い。
戦場を見渡してみるとそこらかしこでオーブの赤いMSと地球軍の青いMSが戦闘を繰り広げていた。
同時にあちこちから煙が上がっているところをみるとかなり混戦しているということがわかる。
一番戦闘が激しそうな区域にむかい、地球軍のMSのカメラ、武器などに照準を合わせてライフルで貫いていく。
流す血を少しでも少なくしたくて戦場を飛び回りながらしばらくそういった行動を続けていたが、視界の端に気になる機影を捉えた。
アークエンジェルに向かってくる黒いMAに乗った青緑のMSそして黄緑色の大きな鎌のようなものをもったMS。
「新型・・・?」
身体が瞬時にアレは危ないものだと判断する。
混戦が続く、場所をひとまず置いておいて僕はそのMS達のほうへとブースターを吹かした。
一機は丘にあがり、MSを片っ端から撃ち殺していく
そしてほかの二機はMSなどには目もくれず、母艦ばかりを狙っていく。
しかも彼らが狙う場所はコックピットで、人の命が消えていくというその行為を楽しんでいるかのように見えた。
2機の行動を止めようとするが、新型ゆえか機体の性能がかなり良く、パイロットの腕もかなりいいらしい。
(ナチュラルがこんなにもMSの操縦ができるなんて・・・!)
少し予想外だ。
これほどMSの操縦がうまい相手となると、僕の不殺の信念を貫くのが難しくなる。
相手からの攻撃を避けつつ、ビームを放っていく。
黒い機体が僕に突っ込んでくるとおもったら、その前に黄緑の機体が出てきた。
「・・・?」
どうもおかしい。個々人の能力はかなり高いものなのにこれはどうやら連係プレーが取れていないらしい。
となると、このパイロット達は軍の人間ではないのだろうか?
そんな考えに思考を奪われていたため、僕は黄緑の攻撃をぎりぎりのところで避けた。
回避しながらそれに向けビームを放つ。
だが、タイミング。位置。ともに的確だったにもかかわらず僕の放ったビームは膜を伝うかのように機体からそれた。
「ビームが曲がる・・・!?」
僕はコレに似たものを見たことがある。
あれははじき返すものだったけどそう・・・たしかそれは真っ白なMSの特徴。
「さんのコクーン・・・。」
元はといえばあれは地球軍の機体だ。
だからその機能を搭載しているのも納得ができる。
だが・・・さんと重なってしまってコレはあまりにもやりにくい。
「くっ・・・!」
少しの迷いが生まれたのも手伝ってか、三機同時の攻撃に僕は主に回避行動をとらざるを得なかった。
攻撃を仕掛けなければ終わらないことはわかっているが今はひどく不利な状況だ。
「せめて味方がもう一機・・・!」
一機だけでもあれば一人が受け持つのは一つと半分。
今の状況よりかはかなり有利に変わる。
三機からの攻撃をずっと避けて、一度体制を整えようとその区域から抜け出そうとした瞬間
黒いMSに照準がぴったりと合う位置をとられた。
黒いMSのもつライフルの中にエネルギーが集まり始めた。
撃たれる。そうおもった瞬間、目の前が赤色にそまる。
何事かと目をしばたかせてみると、フリーダムの前にはシールドを持った見たことのない赤いMSがいた。
何が起こったのか、いまだによくわからない。
だがコックピット内にアラームが鳴り響き、先ほどの二機からの攻撃をよけるために僕は回避行動を取る。
同じように回避行動をとるMSを見て、なにかと似ているとそうおもった矢先にその機体から通信が入る。
あぁ、そうだ。この機体は彼の機体に似ているんだ。
「こちらZAFT軍特務隊、アスラン=ザラだ。
聞こえるか?フリーダム。キラ=ヤマトだな?」
「アスラン・・・。」
彼なのはなんとなくわかっていた。だけど彼がここにいる意味がわからない。
襲い来る二機の攻撃を避けながら、さらに攻撃を加える。
その間に赤のMSに目を向け、通信をつないだ。
「どういうつもりだ!ZAFTがこの戦闘に介入するのか!?」
「軍からはこの戦闘に対してなんの命令も受けていない!」
僕は小さく息を呑んだ。
彼も攻撃を避けながら同じように攻撃をし、通信を返してくる。
軍から命令を受けていないのならば、彼は何故ここにいるんだ。
「この介入は・・・・俺個人の意思だ!」
「アスラン・・・。」
彼は基本的に軍とか規律とかそういった和を重んじて、個は後回しにする人物だ。
そんな彼が個を重んじている・・・?
にわかには信じがたいが今この状況においては一機でも味方のMSが欲しい。
だとすればとるべき道は一つ。信じるしかない。
各自一機ずつを相手に戦闘を繰り広げていたが、
その均衡は丘からのビーム攻撃によりまもなく崩された。
僕とアスランがその攻撃をよけるとそのビームはちょうど黒の機体に当たりそうになる。
黒の機体の動きが止まり、攻撃の視線が味方であるはずの青緑の機体に向く。
「まただ・・・。」
連携がおかしなほど取れていない。
さっきからぴりぴりとしたおかしな空気を感じてはいたが、どうもわざとやってるようにも見えてくる。
僕達に攻撃を仕掛けながらあわよくば味方にも攻撃があたってしまえばいいと言うようなそんな風に見える。
アスランと僕は連携をとりながら黄緑色の機体にプレシャーをかけていく。
そして他の二機にも次々と攻撃をしかけて、攻めていく。
幼いころから一緒だった。彼は僕のやりたいことを瞬時に理解してサポートしてくれる。
それがずいぶんとやりやすい。
気を少しでも抜くと均衡が崩れる。その場の空気は張り詰めていた。
少しすると青緑の機体があからさまに味方機を攻撃し始める。
張り詰めた糸のような均衡が崩れたのはその時だった。
地球軍の新型機は味方同士で戦闘を繰り広げはじめる。
その相手だった僕達はその状況が理解できず、かといってそこから離れることもできずその場にとどまるしかなかった。
しかしソレもすぐに終わる。
3機の動きが突然止まったかと思えば彼らは突然引き上げていった。
もしかして撤退命令でも出たのだろうか。
何があったのかと首をひねりながら思案したのもつかの間。
突然コックピットの中にアラームが響き渡る。
間一髪でビームから逃れ、その発信源に視線を移す。
「また・・・新型?」
オレンジ色の細身の機体。
そのMSがまっすぐに僕らに銃口を向けていた。
2009/05/09
あとがき
久々更新で申し訳ありません^^;
といってもこれはしゅーかつ始まる前に書いてたやつだったりしますが 笑
まだ読んでくださる方いるのかなー。と思いつつももうちょっと続けます。始めたからにはね。
もうちょっとお付き合いくださいねー。