空高くそびえ立つどこぞかの一級建築士が建てた建物。

ソレを見上げてからまず入り口付近にいるガードマンに軽く会釈をし、

二重になっている扉のうちの一つを開け、そこにあるパネルに自分の部屋の番号を入力する

画面が切り替わり、パスワードの入力画面が表示された。

もうすっかり覚えてしまった8つの文字を考えるよりも先に指が勝手に入力し

2つ目のドアが静かに開いた。



「お帰りなさいませ。」



扉が開くと同時に大理石のロビーからかかる落ち着きを持った声。

ホテルのようなエントランスの中にある受付の男は穏やかで人のよさそうな笑みを浮かべていた。

まるで後ろにご主人様。とでもつくんじゃなかろうか。と思うぐらいバカ丁寧な調子の言葉。

いや。あながち間違ってないのか。



「お疲れ様です。」



一応、顔見知りとなっている彼に一声かける。

ロビーでは偉そうなおじ様がコーヒーを飲みながら、またどっかの偉そうなおじ様とお話中。

すでに9時を回っているが商談中だろうか。ときおり難しそうな表情が見受けられた。

そんな光景を目の端でとらえながら俺はエレベーターに乗り込み17階のボタンを押す。

これといった振動はなく滑らかにその箱は動き徐々にスピードを増して地上から離れていき

17階にたどりつくとベルのような音をさせて静かに止まった。

一歩エレベーターから足を踏み出すと毛足の長い絨毯に足音を吸収される。

中央は吹き抜けになっているが内面はガラス張りにされているため

このような金の無駄遣いも可能。



(いったいなんだこのマンション。)



そう思いつつも足を動かし自宅の目の前までやってきた。

カードを通すと電子音がし、中のロックがゆっくりと解除される音がする。



「ただいまー・・・。」



とりあえず一声かけながら扉を開けてまず目に入ったのは脱ぎ散らかされた黒いミュールだった。

見慣れた光景に呆れながらもソレを広い、靴箱のなかにしまう。

俺もこのままだと窮屈なので靴を箱の下から2番目にしまい、ルームシューズに履き替えた。

リビングに入っても誰もいない。

とりあえず机に鞄を置き、制服のネクタイを緩めると寝室のほうから甘い声が聞こえた。



「・・・・。」



どうやらまた男を連れ込んでいるらしい。

いつものことなのでそのままバスルームに向かい脱衣所で制服を脱ぐ。

バスルームのタイルはわずかにぬれてひんやりとしていた。



(この状況受け入れる俺ってなんだ・・・?)




シャワーのコックをひねり、頭からぬるま湯を浴びる。

髪から水が滴って頬をつたった。



「考えても仕方がない・・・・か。」



水をとめて俺専用のシャンプーをとり髪につけて泡立てる。

ふわりと室内にバラの香りが広がった。

どっかの国の特注らしいこのシャンプー以外を母親は俺に使わせない。



俺には柔らかい髪でいて欲しいらしい。

抱きしめた時にこの香りがして欲しいらしい。



しかしその本人はカモミールの香りのシャンプーを使っている。

一時期やっぱり俺にも反抗期というものがあって、

このバラの香りが嫌で自分でミントの香りのシャンプーを使ってみたが

風呂から上がったとたんに母親は驚いたような顔をしてから

バスルームに無理矢理俺を連れ戻し、見ている前でもう一度髪を洗い直させられた。

そんなことを思い出しながらシャンプーを流して髪をすくようにトリートメントをつけて再び流す。



「後は・・・。」



ボトルの下のほうに小さく外国語でボディーソープと書いてあるボトルからスポンジに液体を染込ませて泡立てた。

ちなみにすべてどっかの国の特注のバラの香り。

おかげで俺は常にバラの香りをただよわせてしまうわけだ。

なんか嫌。男なのに女子から



君って良い匂いよね?どこの香水?』



とか聞かれる。それがなんか嫌。


すべての泡を流し終えてバスタオルを棚から取り出し適当に拭いてから

下着をつけバスローブを身に巻きつけた。

余談だが家にはパジャマとかいう類はない。

寝る時はバスローブとなぜか決まっていて小さい頃からそれは習慣となり身に染み付いてしまっている。



ワシャワシャと頭を拭きながらリビングに戻ると相変わらず甘い声が響いている。

長い。今回の相手はかなり体力があるのだろうか。とか頭の隅で思いながら

冷蔵庫を開けて中に入っているものを物色していると一際大きな声が寝室のほうからした。

どうやら終わったらしい。

しばらくして寝室の扉あたりから人の気配がした。

俺はとりあえずそちらを振り返らずに麦茶を手に取った。



「バスルームはそっちの・・。」


・・・・さん・・・?」


「・・・・?」



振り向きながら言った言葉は俺の名を呼ぶ声に遮られた。

おや、知っている声だと思いつつもなじみのある声だとは言えない。

はて、どこで?と相手の顔を見た途端に俺は呆然とした。



「・・・・昼の・・・・チョコレートの子。」


「チョコレート?」


「あ、いや。なんでもない。え。ちょいまて。」



神様どうしよう。



「えっと・・・さんどうしてここに?」


「・・・ここ俺の家。」


「・・・え?」


「それでさっきキミとヤったのは俺の母親。」


「えぇっ!?」



耳をつんざく様な大きな声。

気持ちはわからなくない。俺だって叫びたい。

ついに母親が息子より年下の男に手を出し始めました。

どう考えてみても犯罪じゃないでしょうか、コレは。

もう呆れすぎてどうしようもない。なんなんだ俺の母。



「ど、どういうことですか・・?さん?お姉さんとかじゃなくて・・・?」


「母親。」



俺の腕を掴んで詰め寄ってくるアメジストの瞳。

あぁ、なんでこの子、俺の名前知ってるんだろうと今さらながらに思ってみたりしながら

宙を彷徨わせていた視線を俺より一回り小さな少年に戻した。



「・・・。」


「?」



当然といえば当然だが事後らしくバスローブから覗く肌は熱で火照っていて

鎖骨の辺りには赤い花のようなしるしがついている。それと同時に精液のにおい。

少女にも見えるこの美少年にこんな状況で見上げられると男とわかっていても流石にヤバイ。

俺は自分の理性をあまりアテにしてない。

なんせあの母の子だから。



「キミ、とりあえずシャワー浴びて来い。話はそれからゆっくりするから。」



目を逸らしながらそういうと、少年は自分の状態に気付き、

あぁ、と納得したような声をもらした。



「あっちだから。」


「はい。」



バスルームの方を指差すと少年は大人しくソレに従い歩いていく。

ひとまず落ち着くために椅子に腰を掛けて、麦茶をグラスに注ぎ、ソレを口に含んだ。



「あれー?君帰ってたの?」


「母さん・・・・。」



バスローブを巻きつけた姿の母が寝室から出てきた。

呆れたような目で迎えてやると母はうざったそうに太陽のように明るい金髪の巻き髪を掻きあげた。



「なぁによ?」


「・・・別に。夕飯食べる?」



言いたいことはあるが今さらだ。ただ種類がかわって驚いただけ。

今までは最低で今の俺より2つ上で。それが俺より下になっただけ。

そう考えたら良い。あぁ、でもなんか悲しい気がする。これ絶対犯罪だよな。



「えぇよろしく。」



そういい母はバスローブを巻きつけただけの姿でベランダに出てタバコに火をつけた。

俺が副流煙を吸わないようにと母は決して部屋の中でタバコは吸わない。

それならやめろといったのに

コレとソレは別の問題だから無理。

と一言で片付けられた。溜息をついてから俺は冷蔵庫をあけ食材を取り出す。

もう9時半を超えているのだから簡単なもので良いだろう。

腹を膨らませることがまず優先だ。

一定のリズムで食材を切っていると母がベランダから戻ってきた。

母はどっかりと椅子を引きそこに座る。



「何作ってくれるの?」


「ぺペロンチーノ。すぐできるからもう少し待って。」



コンロに火をつけフライパンをおき、少し前に置いた深めの鍋の水が沸騰したのを確認し

塩を入れてからパスタを入れた。



「かわいいでしょ?」



オリーブ油をフライパンに注いでいる途中に唐突に言われた言葉に俺は振り向いた。

何がと無言で促すと母はにっこりと華やかな笑みを浮かべた。



「あの子。」


「あぁ・・・まぁ・・・な。」



微妙に言葉を濁すのはあのチョコレートの子が可愛いといわれて

果たして喜ぶのかどうかというところに迷ったからだ。

確かに可愛い顔をしている。男にしておくのがもったいない。



「お父さんになったらどうする?」


「はぁ!?」


「冗談よ。」



クスクスと笑いながら母は足を踏みかえる。

俺が立っていて母が座っているから必然的に見下ろす形になる。



で。



爆弾発現に驚いた俺は母親をまじまじと見ていて

一種のデジャブを覚えた。

いや、こちらは豊かな胸の谷間があるから更に性質が悪い。



「シャワー浴びてきたら?」



表情を見られないようにくるりと元の位置に戻りニンニクをフライパンで熱すると母は楽しそうに笑った。



「それはバスルームでヤってこい。ということかしら?」


「いや、ソレ違うだろ!?」



再び振り返ってみると母親はおなかを抱えて机をバシバシと叩いて笑っていた。

どうやらからかわれているらしい。



(うっわー・・・むかつく)



「あ、良いにおい・・・。」



何か母にいってやろうと口を開きかけた瞬間に別の声がそれを遮った。

声の方向にいたのは当然チョコレートの髪の子。

水が髪から伝い頬に落ちている。

水も滴る良い男。



「あ、忘れてた。」



良い匂い。という言葉にニンニクを火にかけてたのを思い出し

パスタも箸でかき回す。

そういえばこの子は夕食はどうするのか聞くべきだろう



「・・・えっと・・・名前は?」


「キラ。キラ=ヤマトです。」


「ヤマトね・・・。ヤマトも食べていく?」


「え、いいんですか?」



チョコレートの髪の子もといヤマトの言葉に俺はコクリと頷く。

俺は最初からそのつもりだったので3人分作っている。



「じゃぁお言葉に甘えて。」


「あぁ。」



ベーコンと唐辛子を入れながら俺は生返事を返した。



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2007/06/13


あとがき

こんなキラ様どうなんだろう。
もうこの話。やりたい放題やってますv
ママとできてりゃパパか。とか思いついて(止まれ)
しかしこれ読んで楽しい人いるんだろうか?自己満足万歳(笑)