戻ってきているらしい。
その言葉を聞いて俺はすぐさま彼にあてがわれている部屋に足を進めた。
ノックもせずに入った途端、鼻腔に届く香ばしい香り。
白を基調として必要最低限のものしかないあまり生活観のない部屋にソレはひどく不釣合いな感じがした。
「ミゲル・・・?」
珍しく水出しのコーヒーマシンなのだといつだか嬉しそうに言っていた機械の前で
軍服の上着だけを脱いだ状態でコップを片手に
不思議そうにオッドアイの瞳を丸くして此方を向いたそいつの姿を認め
俺は何故だか安堵の息を吐きながら笑みを浮かべた。
ますます目を丸くするそいつに苦笑を浮かべながら近づき、
少し癖のある月の光のような銀色の髪の毛に手を伸ばした。
「戻ってきたんなら言えよな。俺、いちおうコレでも心配してたんだけど?」
がしがしと頭を撫ぜるとそいつはあぁ。と納得したような声を出して柔らかく微笑んだ。
その穏やかで暖かいこの空気が好きだ。コレが人をひきつけて止まない。
「ついさっき帰ってきたばっかりだから。
ミゲルに会いに行くのはコーヒー飲んで一服してからしようと思って。」
「ばーか。ソレを何を置いてでもまず最初にしろよ。」
「ミゲル、それは横暴。」
「俺だからな。」
くすくすと微笑むそいつの肩に腕をまわす。
ふと違和感を感じてそいつの顔をじっとみると、彼はきょとんと首を傾げた。
「どうかした?」
「・・・お前、もしかしてものすごく疲れてない?」
「え?」
今思えば任務が終わってすぐなのだから当然なのだけれども
普段、は任務が終わってもけろっとした様子で帰ってくる。
だが、今日は体が妙に硬い。体中の筋肉が固まっているような感じがする。
「うん・・・ちょっと疲れてるかもしれない。」
「・・・どこがちょっとだよ。そこ座れ。」
眉を顰めて絨毯が引いてある床を指差しながらそういうと
は苦笑を浮かべながらコップをサイドテーブルに置いて大人しく座った。
特に抵抗を見せないということは疲れているということで間違いないのだと思う。
つくづく思うのだが、こいつは自分に優しくない。
他人に優しくしすぎて自分の分まで回っていないのではないかと時々心配してしまうほどだ。
溜息をつきながらの後ろに回るとは首だけひねって俺をみて
眉を下げながら微笑んだ。
「ミゲルがそんなに心配しなくてもいいのに。」
「うっさい。お前、ほっときゃ休息とらないだろ。」
(それなのに放っておけるか。)
心の中で毒づきながら俺はの肩に手を置いてソレをもむ。
思ったとおり筋肉はがちがちになっていて、肩をもむ程度ではほぐれなさそうだった。
俺は眉によっている皺を寄せて、の肩にばんっと手をたたき落とした。
「・・・何?」
「うつぶせに寝転べ。」
へんな笑みを浮かべながら此方を振り向くに眉を顰めてそういう。
コレはかなり長い間体を酷使していると思う。
今回のの任務期間は一週間で、その間、休息をとらなかったことも十分に考えられる。
(まったく。)
そんな俺の心のうちの怒りを感じ取ったのかは困ったように笑いながら
大人しく床にうつぶせに寝転がった。
俺はその上に馬乗りになり、親指で指圧のようにして腰から首元にかけて筋肉をほぐしていった。
「硬っ・・・!なにこれ?」
不満のようにそう口出すとは俺の下でどこか楽しそうに笑い
その振動が伝わってきた。
「気持ちい・・・ミゲル上手いね。」
「どーも。」
作業を続けているとの体も徐々に体が温まってきたのか、
肩辺りの筋肉も柔らかくなってきた。
「そういえば、ラウに聞いたんだけどミゲル二つ名貰ったんだって?」
「あぁ・・・”黄昏の魔弾”だってさ。かっこいいだろ?」
「うん。」
二つ名をもらえたということは自分の実力を認められたということなのだが
ソレと同時になんだが照れくさく、少し冗談めかしたように言ってみたが
あまりにもあっさりと肯定されて面食らった。
手の動きを止めるとは首だけをこちらに向けた。
「ミゲルって黄昏感じするよね。暖かいけど、どこか少し寂しくて・・・。」
「寂しい・・・?」
引っかかる単語を耳にして俺は肩眉を顰めて反復すると
はオッドアイの瞳を柔らかく細めて頷いた。
「俺の気のせいかもしれないけど・・・ミゲルは心の隙間みたいなものかな
ソレを埋めようって頑張ってる気がする。」
そんなものない。
そう返したかった。
だけど・・・それは嘘になる。
功績を挙げることで誰かに認められたい。
でも認められてもその”誰か”って誰なんだろうと思う。
「なぁ・・・。」
呼びかけてみるが返事は返ってこない。
不思議に思っての顔を覗き込んでみると
瞳を閉じて安らかに寝息を立てていた。
「なんだ、ソレ。」
苦笑を浮かべながら俺はの上からのいて、銀色の髪を優しく手ですいた。
やはり疲れていたらしい。気持ちよさそうな寝顔がそれを物語っていた。
「に認められたら・・・ちょっとは心の隙間埋まるかも。」
が背中を俺に任せてくれるなら。
認めてくれるならば、寂しさとかいうものは少し消え去るかもしれない。
「頑張るか。」
まだまだ未熟な俺だけど。
に認められるように。
(リクエスト:那々屠 様)
2006/07/13
アトガキ
ねー。某N君の影響ってすごいよねぇ。
ミゲルさん全く興味なかったわけでもないんだけど
夢書こうと思わせる彼が凄いよ。
時間枠的には主人公さんが行方不明になる前らへん、
尚且つアカデミーに講師に赴く前。
ん?・・・ミゲルってアスランたちより一期前ですよね?
ほら、また甘くないよ・・・!
甘いってリクいただいてるんだから甘く書こうよ
と思うのですがなぜか書けない!なんでだ orz
そしてお相手指定されてなかったのでミゲルさんにしてしまいました(待)
本来キラ様書くべきなのだとは分かっていたのですが、本当にすみません!
ネタ切れでした(ぇ)こんな管理人ですが許してやってください<(_)>
那々屠様リク有り難うございました!