「キラ。」
穏やかな落ち着いた声で名を呼ばれ、僕はゆっくりと振り向いた。
振り向いた先にいた大好きな顔が僕にとてもとても優しく微笑みかけた
。
「…さん?」
不安の色を持ってそう呼び掛けるとその人は優しく笑みを深める。
「どうして…?さん、あなたは…」
死んだはずじゃ。
その言葉が喉のところまであがってくる。
「キラ。歩こうか?」
さんがすっと手を差し出す。
僕は視線をその手とさんの顔になんどかいききさせる。
なぜかその手をとってはいけない気がして手を差し出すのを戸惑う。
そんな僕を見てさんがクスリと微笑んだ。
そして僕の手をとって手を重ねる。
触れる暖かみ。
さんは消えない。触れれる。ここにいる。
「さん…。さん!」
「どうしたの?キラ?」
僕の悲痛の声に半歩前をゆっくり歩いていたさんが微笑みながら振り向いた。
「あなたは生きて…るん…ですか?」
さんはなにも云わずにただ微笑む。
これは肯定?
それとも否定?
ここに存在しているのに直ぐに肯定しない。だとすれば…?
「キラ。今は余計な事は考えなくていいよ。」
「でも…!」
まだ何か言おうとする僕の唇に人差し指をあててさんは少し悲しそうな表情を浮かべた。
「キラ」
さんは僕の頬を優しく包みこんだ。
なんだか泣きそうになりながらさんの顔を見上げた。
ゆっくりさんの顔が近付いてくる。
僕は促されるように瞳をとじた。
唇に柔らかい感覚が降りる。
ゆっくりとそれが離れていって僕は瞳を開いた。
「Happy birthday キラ…。」
「え?」
誕生日?
一瞬何を言われたのかわからなかった。
そんなものがあるということすらこの戦争の中では忘れていた。
僕ですら忘れていたことを祝ってくれている・・・?
僕はきょとんと目を丸くしてしまう。
さんは苦笑じみたものをうかべ、僕から離れた。
「じゃあね、キラ」
突然あたりから霧が出てきてさんの姿が見えなくなっていく。
「さん!」
泣きそうになりながら手を延ばして叫ぶ。
しかしその手は届かない。
「さん!!」
さらに強く彼の名を呼ぶと突然白い天井が眼にはいった。
見覚えがある。ここは・・・AAの中だ。
そして今、僕はベットの中にいる。
「ゆ…め…?」
その呟きは白い部屋に吸い込まれて消えていく。
やっぱり幻想だった。
だけど…またあの人に会えた。
今はそれだけで充分だった。
2006/05/18
アトガキ
キラ様の想像力に万歳
ちなみに初キスのような・・・。
想像上でだけど(笑)